なぜ脳は脂を要求するのか? 死亡リスクを劇的にあげる脂質中毒の原因は、自己責任だけでなく、厄介な「脂依存症」だった!
肉類や油っこい料理がそこまで好みでなくても、脂質中毒になっている可能性がある。なぜ脳が脂を要求するのか、医学博士、岡部正先生の著書『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)より一部抜粋、再構成してお届けする。
脂質中毒#2
外食は脂肪の摂取量が増えやすい
自炊の料理に比べると、外食は脂肪の摂取量が増えやすい傾向があります。
外食産業の売上1位は某牛丼店、2位はハンバーグが有名なファミリーレストラン、3位は某ハンバーガー店、4位は焼肉屋などを中心とした居酒屋グループ、5位は別の某牛丼チェーン……。
全体的に肉類を扱うお店が多いという事実があるとはいえ、見事なまでに脂を多く含んだ牛肉を扱う会社が上位に入っています。
そして、肉類以外の料理であっても安心はできません。
外食で提供される料理には、脂肪が添加されていることがよくあるからです。
料理にあぶらを加えることにより、味にパンチが出て、食感はまろやかになります。
お客さんは、薄味のボソボソ・パサパサした料理よりも、濃厚な味・しっとり・ねっとり食感の料理を好みます。お客さんに満足してもらい、リピーターになってもらうためには、あぶらは重要な武器になるのです。
同じことは中食にもいえます。持ち帰りのお弁当やお総菜は、炊きたて・作りたてではありません。炊きたて・作りたてに近いおいしさを感じさせるために、ご飯類や麺類にもあぶらをどんどん加えて、味を際立て、食感を良くしています。
同じ理屈で、冷凍食品やインスタント食品などにもあぶらが入っています。
昔は、家庭で料理をして食事をするのがあたりまえでした。しかも昔は肉類が高価だったので、ご飯、味噌汁、野菜、魚を中心にした食事をしていました。必要以上のあぶらが付け入る隙のない食生活でした。
それが、外食・中食を中心とした食生活になると、自炊よりもあぶらの摂取量が多い食事が増えることになります。
先ほど説明したように、連続してあぶらを摂ると、舌の脂肪味は鈍感になり、満足感を得るためには、さらに大量のあぶらを食べる必要が出てきます。そしてさらに舌は鈍感になっていく……。
外食・中食産業の戦略が、脂質中毒の悪循環を生み出している面があるのです。
ドキッとされた方も多いのではないでしょうか。
『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)
岡部正
2022/12/16
1,320円(税込)
176ページ
ISBN:978-4776212553
私が岡部クリニックを開業してから25年以上が経ちました。これまで診てきた、糖尿病をはじめとする生活習慣病に苦しむ患者さんや、肥満を解消したいと願う方々は数知れません。いつの時代も、みなさんが抱えている悩みは深刻です。ただその間、傾向に変化が見られたり、私自身が新たに発見したりしたことがいくつかあります。
その最たる例が「脂質中毒」です。
お菓子好きの女性の患者さんを大勢診てきて、当初は糖質中毒が病気に大きく影響していると考えていました。しかし、あるとき気づいたのです。その大半が〝洋菓子派〟であり、
〝和菓子派〟は極めて少ないという事実に。すると今度は、糖質をあまり摂っていないうえに、見た目に太っていない人が身体の異常を訴えているケースに
とくに目がいくようになりました。そして、脂質中毒の存在にたどり着いたのです。
日本人の食の欧米化が進み、寿命や生活習慣病の発症率に変化が生じました。
そろそろ、なにかしらの手を打たなければなりません。だからこそ、私は本書を通じて
脂質中毒への効果的な対策を発表することにしたのです。脂質中毒は自分で気づきづらいだけでなく、自分の意思で治すことも非常に難しい症状です。
そのことを、本人のみならず、周囲のみなさんもしっかり理解して、改善に向けて全力で取り組んでいっていただきたいと思います。
【こんな人は危険!あなたは大丈夫?】
□ 和菓子よりも洋菓子が好き
□ 夜食や間食をとる習慣がある
□ 焼肉は赤身よりもカルビが好き
□ お腹がいっぱいでも好きなものは別腹
□ 退屈になるとなにかを食べる、食べてしまいたくなる
□ ストレスがあるとなにかを食べる、食べてしまいたくなる
□ コロナ禍でデスクワークの時間が2時間以上増えた
□ 20歳のころよりも体重が5㎏以上増えた
1つでもあてはまる人は「脂質中毒」の可能性大!いますぐ本書を読んでください。
脂質中毒#1