満腹中枢が損なわれるので、さらなる暴飲暴食に

また、脳の視床下部には「満腹中枢」という満腹感を得る部位があります。あぶらを摂り続けていると、この部分のコントロールが乱れ、満腹感をなかなか感じなくなってしまいます。これもあぶらを大量に摂ってしまう原因になっています。
脂肪味が鈍感になる
 ↓
気持ち良くなるために過剰にあぶらを摂るようになる
 ↓
満腹中枢のコントロールが乱れて満腹感を感じなくなる
 ↓
気持ち良くなるためさらに過剰にあぶらを摂る

完全なる負のスパイラルで、これは薬物中毒のそれとまったく同じ。こうして人は脂質中毒に陥り、抜け出せなくなっていくのです。
現在は炭水化物を減らす糖質制限ダイエットが大流行しています。
しかし、じつは肥満の原因が糖質にあるのではなく、飽和脂肪酸の摂りすぎによる、食欲調整機能に乱れが出ているのが原因というケースが、かなり存在すると考えられます。

脂質中毒になる「生理的」なおもな理由をまとめると、次のようになります。
① 人間には「あぶらをおいしい」と感じる本能がある
② あぶらを感じる味覚は備わっているが微細で鈍感になりやすい
③ 快感を味わいたいのであぶらを必要以上に摂りすぎてしまう
④ 満腹中枢が損なわれるので、さらなる暴飲暴食につながりやすい
本能に従っていると、現代人は脂質中毒になってしまうリスクが高いのです。

中毒の大きな原因のひとつが「生理的」と書いたのはそのためです。