あなたは、もう脂質中毒になっているかもしれない
「長生きする人は、毎日肉を食べている人が多いそうですね。ですから私も、できるだけ肉を食べるようにしているんです」ある患者さんが、私にそう言いました。
確かに、人が健康に生きるためには、適度に肉を食べることは必要でしょう。
肉に含まれる動物性たんぱく質は、筋肉や臓器などを作る材料になり、骨を作るのを助けます。
人が健康に生きていくために、アミノ酸バランスに優れた肉などの「良質のたんぱく質」は欠かせません。
しかし、それでは木を見て森を見ず、になってしまいます。
毎日、肉を食べるということはすなわち、肉に含まれる脂質も相当食べているということになります。
肉を食べて脂質を摂取することが習慣になると、あなたの味覚が変化して、知らず知らずのうちに脂質を求めるようになってしまいます。
そうすると、もっと脂質が欲しくなり、肉などの脂っこいものや乳製品を摂るようになります。このくり返しが、さらに味覚を変化させ、いっそう脂質が欲しくなる。そして、いつしか脂質を摂取することが快感になり、さらに脂質が欲しくなる……。
これが、「脂質中毒」なのです。
脂質中毒というと、極端な印象を持たれるかもしれません。
肉の脂身ばかり食べているとか、揚げ物を毎日食べているとか、飲み会の締めにあぶらギトギトのラーメンを食べているとか……。
もちろんそういう人も脂質中毒になっているでしょう。
でも、多くの脂質中毒の人は、そのような食生活を送っているわけではありません。「自分がすでに脂質中毒になっている」なんて思いもしない人がほとんどなのです。
「食生活には気を配っているから、私は大丈夫」と自信を持っている人が、気づいたときには脂質中毒になっていた……。
じつは、このタイプの患者さんはたくさんいます。