2〜3時間睡眠の毎日の先にあるのは「ヒラメ幹部」への道?
まず指摘されるのが、ケタ外れの長時間労働だ。3年前に官僚を辞めた男性が振り返る。
「国会で予算委員会が開催されているときには、始発電車で5時半出勤。夜中も遅くまで国会答弁を作る仕事があり、睡眠時間2〜3時間の生活が毎日続いていた。子どもが生まれ、共働きの生活ではとても続けていけないと思い、退職を決意した」
文部科学省の若手官僚もこう指摘する。
「もちろん、国の政策に関われるやりがいはある。でも、あまりにも不毛な仕事に時間をとられすぎて、疲れている。書類作成のルールが細かすぎるために書類を作り直して二度手間になったり、政策を理解していない素人の大臣への説明に時間がかかりすぎたり……。
永田町・霞が関のお作法は身につくけど、社会で役に立つスキルは、外資系企業やコンサル企業で稼いでいる東大時代の友達の方が、よっぽど学んでいると思う」
そのうえ、自分たちが目指すべき幹部のある光景を見て、優秀な若手のやる気はさらにそがれてしまう。
「首相官邸が各省幹部の人事を管理する内閣人事局が2014年にできてから、幹部が官邸や大臣にモノを言えず、ヒラメ幹部になってしまった。自分の省の政策をよくわかっていない大臣が思いつきで言うトンチンカンな政策に、幹部がヘコヘコ従ってしまうのを見て、『こんな小物幹部になるのは嫌だな』と思ってしまった」(前出、官僚を辞めた男性)
ヒラメ幹部とは俗に、上のことしか見ておらず、部下のことは眼中にない上司のこと。魚のヒラメの目が上のほうに向いていることから言われている。