市長に就任直後は「すべての地区を回り説得」

 最初は失敗もありましたよ。市長に就任したばかりの頃は財源もなかったんで、子育て政策をやるには高齢者のお金を削らないと無理だと思っていたんです。で、何をしたかって言うと、すべての地区を回り説得しました。
年配の人を100人くらい集めて、「皆さん、今までディナーのフルコース食べて、そのうえデザートまで食べてきませんでしたか。これからの時代は、あなたたちのお孫さんがお腹を空かせていますので、ディナーの後のデザートは、ちょっと我慢いただけないですか。その浮いた分で、お孫さんにおにぎりをあげたいと思っています」と。

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明石市の名物「明石焼き」

ひろゆき 言い得て妙な表現ですね(笑)。

 でも、これが大失敗で。「イヤや! デザートは別腹や! わしらは両方食う!」の一点張り(笑)。地域を15カ所くらい回ったんだけど、ホンマに全部そんな感じなんですよ。まあ今思えば、私もバカなことをしたなと思いますけどね。そこで、高齢者のお金を削るのは無理だと諦めて、方向転換しました。
「あなた方のお金は減らしません。ただ、ちょっと待ってください。子育て政策やってから、必ず力入れていきますので」と。だから明石市は、高齢者のお金は全然削ってなくて、子育て政策が軌道に乗った後は高齢者サービスを充実させているので、今ではむしろ感謝されているくらいです。コミュニティバスの無料化とかね。

ひろゆき 高齢者のバス無料化は、福岡市なんかもやっていますよね。人口増えてうまくいっているところは、むしろ高齢者への待遇も手厚いのかも。

 あと商売方面ですが、これも「絶対に儲かるから、ちょっと待っとってください」とお願いしました。子育て政策がうまく機能して家族連れが増えれば、おのずと経済が回ることはわかっていたので。結果、コロナで大阪や神戸に行かんと、地元民が地元でお金を落としまくったので、明石駅前では過去最高の好景気です。今では商売人からの反発もなくなりました。