市長就任後、子育て政策の予算を2倍に
――最初にうかがいますが、なぜ、暴言を吐かれたんですか。
ストレートですね(笑)。私は12年の任期中、私利私欲、党利党略、議員の面子で市民をないがしろにしてきた市議会の姿勢に強い怒りを感じていました。その怒りがついに爆発したというのが一番近いと思いますね。ただ、暴言は許されるものではない。だからこそ、責任を取ってと辞意を表明したんです。
――市長辞任後に地域政党を立ち上げるという報道があります。
多くの市民が今の明石市の政策の継続を願っています。だから、私がいなくなっても今の明石市の政策がちゃんと続くように、次の市長と議会の過半数を市民の民意に近い人にしたいと考えているんです。
――明石市の政策を全国に広げることも考えている?
明石市ができたことは他の自治体でもできる、と言ってきましたから。たとえば、養育費の立て替えなど、明石市の条例で実現したことを国に働きかけて法律にしてもらったり、他の自治体関係者にアドバイスするなどして、明石市の政策を全国に広めたいですね。
ーー明石市といえば「5つの無料化」が有名です。
簡単に言えば、
①18歳まで医療費無料。薬代も市外の病院でも無料。
②保育料は2人目以降、兄弟の年齢に関係なく全員無料。
③おむつ(またはミルク)は1歳になるまで家に届ける。
④中学校の給食費は無料。
⑤公共施設の遊び場は親子とも無料。
の5つです。これにかかるお金は年間33億円ほど。明石市の子どものための予算は私が市長になる前までは126億円でしたが、それを2倍の258億円にまで増やしました。
ーー倍増はすごい。
全然、すごくないです。グローバルスタンダードに合わせただけのことです。40年前、大学で教育哲学を学んだ時、日本の子ども関連予算が欧州各国の半分ほどと知り、愕然としました。しかも、今もそうなんです。だからこそ、せめて他の国並みにしたいと予算を倍増させたにすぎません。
――実際に明石市では転入増などの成果が出ています。
転入してくるのは30歳前後の人と小学入学の前の子どもたちが中心で、人口増は10年連続となりました。これは兵庫県下41自治体で明石市だけです。また、全国に60以上ある中核市の中でもナンバーワンです。