ということで、東京キー局は「大阪・名古屋に一部の時間を任せて金銭的な負担を軽くする」ことができるわけですが、金銭的なもの以外にももう1つ大きな理由があります。それは「夕方のニュースを準備する時間を確保する」ことです。

ワイドショーにしろニュースにしろ、生で番組を放送するにはそれなりの体制を整える必要があります。なぜなら、もし大きなニュースが起きたら即座に放送対応しなければならないからで、取材をする記者にしろカメラマンにしろニュースデスクにしろ、気を抜くことができません。「次の時間になにを放送しようか」という打ち合わせをしたり準備をしたりすることが、生放送をやりながらだと難しいのです。

『ミヤネ屋』『ゴゴスマ』…多くの素材を東京に借りなければならないのに、全国ネットのワイドショーを大阪と名古屋の放送局が作っている本当の理由とは?_1
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普通は「朝のワイドショー」「昼のワイドショー」「夕方のニュース」それぞれのあいだにはインターバルがあります。たとえばテレビ朝日系列だと、朝の『モーニングショー』と昼の『ワイド!スクランブル』のあいだには高田純次さんがお散歩していますし、『ワイド!スクランブル』と夕方ニュースの『スーパーJチャンネル』のあいだには『徹子の部屋』があったりDAIGOさんが料理をしていたり、『相棒』などの再放送があって、そのあいだにじゅうぶん「次の番組の準備」をする余裕があるわけです。

この再放送の代わりに地方局からワイドショーを放送することができたら、切れ目がなくなって視聴者を飽きさせないのではないかという発想で、日本テレビ系列とTBS系列は大阪や名古屋にワイドショーをつくらせることにしたわけです。最初このスキームが始まったときには、私も「なるほど! よく考えられているな」と思わず唸りました。