『じゃないとオードリー』で話題となった企画とは
少し前の話になるが、テレビ東京の特番『じゃないとオードリー』において、「オフゼロオードリー」という企画があった。
当時SNS界隈でもかなり話題になったのでご覧になった方も多いかもしれないが、この企画は本番以外では誰とも積極的にしゃべらない「オフ」状態のオードリーの二人を、丸一日常に「オン」の状態にさせ数々のミッションをクリアしてもらうというもの。
普段は挨拶すら交わさないオードリーに「楽屋で二人きりで盛り上がれ」という指令がくだったり、いつもはメイク室で“激暗”な二人に「メイクさんを笑顔にせよ」というミッションが課されたりと、通常そこに一切のエネルギーを割いていない二人にはなかなか酷なこの企画。
「オン」状態のまま、日向坂46との番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)の収録も3本こなし、収録の合間も日向坂メンバーやスタッフに積極的に話しかけたのだった。
最初は嫌々やっていた二人だが、企画の最後にはオードリー若林から「みんな本番でエネルギー放出するから、(それ以外では)基本しゃべりたくないのではと思っていた。でも、スタッフさんや日向坂メンバーに話しかけたら番組が明るくなり、俺の負けだと思った」「人間はコミュニケーションする動物だよ」と本音の感想が漏れた。
「オフゼロ」コンセプトが思わぬところへ共鳴
なかなか今までにない角度のこの企画。
これまでのテレビであれば、オンとオフのギャップを見て笑うところまでだっただろう。しかしスターたるもの常にオンであるべし、というコンセプトのもと奮闘するオードリーと、その影響を受け周囲が変わっていく様を見せたのは、斬新だった。
そしてこれを見た私の感想は「このまま企業のミドルマネジメント研修で流してもいいやつじゃん」であった。
一応、私も兼業モノ書きでサラリーマンの端くれ。それなりの年齢になれば色々な研修を受ける。部下に評価の納得感を持ってもらうため、年1回面談をするだけではなく、「普段からできる限り接点を持て」みたいなやつも受けた記憶がある。
まして今はリモートワークなど働き方の多様化が叫ばれる状況。どのように部下や後輩と接し、ケアするかは難易度が増している。
そんな中、この「オフゼロオードリー」は大変にわかりやすく、ミドルマネジメントかくあるべしを示したもののように感じたのだ。テレビ東京は、企業の人事部門向け研修ビデオとして是非これを販売してほしい。