コロナ禍で変わった制作体制
――コロナ禍によって筒井さんご自身の生活は何か変わりましたか?
マンガ家は部屋にいて成立する仕事なので、生活に大きな変化はありませんでした。コロナ以前はカフェに行ってiPadでネームを描くこともありましたけど、それがなくなったぐらい。しいていえば、アシスタントさんが完全リモートになったことでしょうか。これはメリットもデメリットもあって、通ってもらう負担が減って、こちらも机や機材を整える予算が浮きました(笑)。
一方で、背景の細かいニュアンスを伝えるのが難しくて。次回からはもっと洗練された形で伝えることができたらと思っています。
――筒井さんのタッチを言語化して伝えるのは難しそうです。ところで、最適な住環境を整えた小森ですが、会社員時代の悪夢を見て飛び起きたりするじゃないですか。現実の社会でもブラック企業はまだまだはびこっていますし、その一方でリモートワークが進んだ企業もあり、仕事の仕方が両極に進んだ気がします。そんな現象に思うことはありますか?
そうですね。マンガ家は比較的、影響を受けにくい職種だと思いますが、本当に大変な職種の方もいて、ネットには不平不満が噴出していました。大局的には、場所に縛られなくてもいい働き方が広がったのかなと思います。
――確かにそうですね。では、この作品を読んで、「ニーティング・ライフを始めました」なんて人が出てきたら、いかがですか?
僕が考える快適な生活はこうかなというものを描きましたが、家族がいたら難しいでしょうし、最初にまとまったお金も必要でしょうから、簡単に踏み切れるものではないのかなとは思います。
ある意味、ニーティングは究極の独り暮らしじゃないでしょうか。
取材・文/山脇麻生 ©筒井哲也/集英社