「半分素人」の蜜の味とリスク

ガーシーが恐れているのは警察ではなかった。74年ぶりの「招状」も日本に戻ってこられない本当の理由_2

この特殊な需要と供給があるということで、芸能人の下半身を潤すサポーター「コーディネーター」が生まれる。コーディネーターたちは組織化されているわけではなく、個人事業主として模糊とした集団となっている。こうした事情をよく知るのが、北新地のホスト業界やスカウトなど夜の世界の男衆に幅広い交遊関係を持つ人物だ。在阪時代のガーシーのことも知っている。

大阪では芸能人への「若い供物」に事欠かない事情がある。キャバ嬢から、ほとんど素人の読者モデルに至るまで「東京」に憧れる者が多く、「チャンス」を求めて芸能人との接触を求めるからだ。東京では「半分プロ」相手のお遊びしかできないのに対して、大阪は「半分素人」。その蜜の味はたまらないのだろう。

特に地方の名前が付けられる「○○コレクション」などのミニマムなファッションショーに出演する女性は、格好のターゲットだ。素人の中では美人だけれども、芸能人にはなりきれない。それでも売れたい野心がある。

こうしてマッチングビジネスが成立するのである。

ところがこのシステムは素人が行っているということで、トラブルも多い。東京であれば所属する芸能プロダクションのパワーでチェックや、もみ消しが行えるところが大事になることがある。地下格闘技が組織化されていないのと同様に、仕切る者がいないので火消しができないのだ

2018年6月に、大阪で未成年者に飲酒をさせ「不適切な関係」を持ったことで芸能活動を休止し、所属事務所から契約を打ち切られた小出恵介はその典型例である。

大阪でマッチングビジネスのノウハウを覚えたガーシーは、松竹芸能所属のお笑いコンビ「アメリカザリガニ」の平井善之の誘いで上京。六本木に平井と共同で飲み屋を始める。

大阪で覚えたノウハウを東京でも応用したガーシーは、「俺、7000人ぐらい女の子の連絡先知ってんねん」と豪語できるほどになったのである。