“毒婦”木嶋佳苗との不思議な共通点と類似点

2009年11月2日、鳥取県警が上田美由紀を当時、同居していた男とともに詐欺容疑で逮捕、背後で関係者が何人も不審死していた事実がわかると「またか」という衝撃が全国に走った。ちょうどその1か月ほど前に首都圏連続不審死事件と関係があるとみられる木嶋佳苗死刑囚(48)を埼玉県警が詐欺容疑で逮捕し、殺人容疑での立件に注目が集まっていたからだ。

両事件とも、明らかになった不審死の被害者は6人ずつで、ともに確定死刑囚となった女性2人には、「巨躯」で同年代という共通点はある。
しかし、婚活サイトを物色して目立たない獲物から金を騙し取っては煉炭自殺に見せかけて葬り、次の獲物に乗り換えていったセレブ気取りの「佳苗」に対し、「美由紀」は水商売の現場で社会の荒波に揉まれた妻子持ちの男を骨抜きにし、家庭もろとも破壊したうえに絶命に至らしめた。そのやり口は狡猾で獰猛な恐竜を彷彿とさせる。

「美由紀と出会って本当の愛を知った」獄中死した上田美由紀死刑囚はなぜ地元新聞記者を虜にできたのか。スナックで2~3度ついたら男女の関係を許す驚きの寝技。“毒婦”木嶋佳苗との不思議な共通点と類似点_2
事件前に2度の結婚と離婚を経験している

結果的に「美由紀」は2009年4月と10月に起きた2件の強盗殺人の罪に問われ、最高裁まで争った末に2017年8月に死刑が確定した。しかし、それ以前に籠絡した新聞記者と刑事をともに凄絶死させながらも、それらが「自殺」扱いとなった成功体験が、彼女のモンスターぶりに拍車をかけたのではなかろうか。

「自殺」扱いとなった記者と刑事、強盗殺人で立件された2人、そして「事故死」と「病死」で処理された合計6人の男性が、金銭トラブルの末に非業の死を遂げていたのだ。

この頃すでに事件記者としてベテランの領域に差し掛かっていた筆者にとっても、この事件は滑り出しから異様だった。当時、旧知の地元記者に電話してみると、驚くような答えが返ってきた。