僕らが勝負できるステージはコントしかない
――『雨』は3回目とはいえ、今年の準決勝のお客さんのリアクションもよかったですよね。
本間 相当ブラッシュアップしていたということもありますけど、初めて見た人も多かったんだと思います。去年までの準決勝は500人キャパぐらいの会場でやっていたんです。でも、今年は1800人キャパの新宿文化センターの大ホールで開催されたので。
中嶋 1000人を超えると、もうお笑い向きのキャパではないんですけど、それに助けられたのかも。500人くらいの規模だと、毎年、同じようなお客さんになってしまう。でも1800人まで拡大したことで、今年、初めてキングオブコントの準決勝を見にきたという人もいっぱいいたと思うんです。
――確かに準決勝の会場は広いなと思いましたが、広い分、いろいろな層のお客さんが集まっている気がしました。お話を聞いていると、今年の決勝で見せたネタは、選りすぐりの2本だったと言ってもいいわけですね。
本間 生涯ナンバー1と、ナンバー2のネタでしたね。それを消費してしまった。だから、来年が大変です。でも、そこは自分たちを信じるしかない。これまでの15年間も1年に1本はいいネタができていたんです。あとは過去ネタを掘り起こしてブラッシュアップすれば、何とかなるのかなと。昔の自分では仕上げ切れなかったものでも、今の自分なら形にできるかもしれないので。
――先ほど通りで写真撮影をしているときに「キングオブコントで見ましたよ!」と、若い男性に声をかけられていました。ああいうことも増えましたか。
本間 少しずつですけど。そういうのを夢見ていたので、嬉しかったですね。
中嶋 びっくりしちゃいました。今日だけで二度、ありましたから。
――そういう変化も含め、キンブオブコントの決勝に進出したことで、自分たちの芸人人生がようやく変わり始めたような感覚はあるものですか。
本間 いや、まだまだ、ここからでしょうね。今はキングオブコント3位バブルでお仕事をもらえていますけど、時間が経ったら、優勝者以外は「2022年のファイナリストのうちの1組」という扱いになってしまうと思うんです。
――や団はM-1も何回か出ていますが、2022年もエントリーしたんですか。
本間 いや、もう出ません。結成年数的にも、もう出られないんじゃないかな。M-1は僕らにとっては修行のうちの1つだぐらいの感覚だったので。漫才はコントと違って、芸人の人となりで笑わせないといけないじゃないですか。
そこへいくと、僕らは3人ともキャラクターが薄すぎる。普段は、毒にも薬にもならないですから。僕らが勝負できるステージはコントしかないんです。コントなら、違う人間になれるんで。
取材・文/中村計 撮影/村上庄吾
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