代表作『空手家の子』はエラーから生まれたネタ
——しょうたさんは、あまりにも変なネタを作られて、「これはさすがにできない」みたいに感じることはないのですか。
しょうた ありますよ。毎月、新ネタ3本ずつ下ろしている時期があって、それだけ作っていると、中にはもうネタとも呼べないようなネタもあったりして。やってもいいけど、これ、ウケんの? みたいな。
荒木 『空手家の子』もそうだったな。「おもしろ荘」で優勝したときのネタなんですけど、明日のライブで新ネタを3本やらなきゃいけないってときに、最後の一本がどうしても出てこなくて。とりあえず、アマゾンで翌日着の空手着を2着注文したんです。それを着て出て、相方には、俺が前で踊るから、お前はそれを真似しとけ、って。
――本当に、それだけのネタでしたよね。
荒木 そうしたら、めちゃめちゃウケて。それをどんどんブラッシュアップしていったら、僕らを代表するネタにまでなった。いうたら、エラーから生まれたようなネタなんです。僕らは追い詰められたときの方が、爆発力のあるネタができる。
——何かの法則に当てはめていくわけではないんですね。
荒木 そういうタイプのコンビもいますけど、僕らは絶対、そっちのタイプじゃない。0か100かというところでやってるんで。おそらく平均で言えば、50を下回っていると思います。
しょうた 全然ウケへんときも、しょっちゅうです。
――決勝で披露した『あっち向いてホイ』も?
荒木 あれはウケる方です。でも、全然ウケないネタでも、「なんだこれ、なんだこれ」って掘っていったら、その1を100にする自信はあるんです。きっとキングオブコントで勝てるネタもできると思うんです。
――『空手家の子』もまさにそんな雰囲気のネタですよね。わけわからないネタなんだけど、見ていると笑えて仕方なくなってくる。
荒木 そこがお笑いのおもしろいところですよね。経験と照らし合わせて、これは絶対ウケるだろうと思って自信満々で持っていっても、ウケないときはぜんぜんウケない。めちゃめちゃ練習したからといって、それが必ずしも結果につながるわけでもない。なのに、舞台袖でたまたま思いついたアドリブがいちばんウケたりすることもある。