決勝前、食事ができず5キロ減

――昨年の準々決勝も、ツッコミがないネタだったのが敗因だったと。

荒木 それもあったと思います。けど、単純に、まだ完成度が低かった。あと、準々決勝はマイクがないんです。今年は500人キャパぐらいの会場でやったんですけど、その規模でマイクがないのはけっこうキツい。

――地声なんですか。

しょうた 地声です。それだと僕はだいぶきついですね。

リハなし、マイクなしの準々決勝がクロコップには最大の鬼門? 「『あっち向いてホイ』は絶対やらんとこと思ってました」_2
賞レースにおける音楽ネタの難しさを語るしょうた

荒木 去年は音楽の音が大き過ぎて、僕らの声が聞こえにくかったと言われました。そこの調整は難しいんですよ。かといって音楽を小さくし過ぎると、今度は、僕らがセリフを言うタイミングを取りにくくなる。しかも準々決勝はリハーサルがない。なので本番は僕らの後輩を連れていって、その場の判断で、音を上げたり下げたりしてもらうようにしていたんです。

――リハーサルは準決勝、決勝もないものなのですか。

しょうた 準決勝以降はあります。それより前の段階だと、まだ参加人数が多いので、そこまできめ細かくやるのは大変なんだと思います。

――マイク1本あれば何とかなる漫才と違って、コントは音響だったり照明だったり小道具を利用するので、会場の設備等が整っているか否かはものすごく大きな問題ですよね。

荒木 僕らの先輩も準々決勝でマイクが使えるもんだと思ってカラオケのネタをやろうとしたら、マイクがなくて。慌てて近所で変な木の棒みたいなのを買ってきて、それをマイク代わりにしていましたね。昨年の準々決勝で落ちてからは、少なくとも『あっち向いてホイ』はリハなし、マイクなしの会場ではもう絶対やらんとこうと思ってました。

――クロコップのネタは明らかに他のコンビとは毛色が違っているので、準決勝を通過したときも納得感がありました。

荒木 僕はしんどかったです。

――しんどかった?

荒木 『おもしろ荘』(日本テレビ系『おもしろ荘夏の生放送SP』、2018年7月26日放送)で優勝したとき、これでやっと売れるかと思ったのに、直後は少し仕事が増えましたけど、結局何も変わらなかった。

なので、キングオブコントの決勝チケットは、芸人として売れるための最後のチャンスだと思っていたんです。その最後のチャンスがとうとう来ちゃったんだな、と。そう思ったら、一週間ぐらいほとんど食事が喉を通らなくなって、5キロも痩せました。