女性の被害総額のほうが高い傾向に
国際ロマンス詐欺の被害が多数報告される中、2021年に大阪府警が6人を逮捕した事件では、30~70代の男女66人が計1億4000万円を騙し取られていたことがわかった。なぜ男女は、ロマンスの果てに大金を奪われてしまうのか? 銀座さいとう法律事務所の齋藤弁護士に、国際ロマンス詐欺で大金を奪われる人の実態について話を聞いた。
——昨今、国際ロマンス詐欺で多額の資産を奪われる被害に遭うのは女性が多いと聞きます。
齋藤 私の体感では国際ロマンス詐欺に関する相談者のうち約8割が女性で、被害総額も比較的高い傾向があります。
先日は約3000万円を交際相手の男性に奪われたという40代の女性の方がいらっしゃいました。このケースは詐欺師・被害者とも日本人ですが、加害者が海外で事業を営んでいることから、国際ロマンス詐欺のひとつともいえるでしょう。
この女性は交際していた男性に「今は銀行口座を作れないので、口座を貸してくれないか」と言われて、自身の銀行口座を3000万円の預金とともに男性に渡してしまいました。すると、すぐにその男性とは音信不通に。
その後、ようやく男性と連絡がついたと思ったら「会社の社長に就任してバタバタしていた」と言う。ちなみにその女性名義の銀行口座は会社の口座にされていました。つまり男性は女性が貸した3000万円を一部資本金に繰り入れ、法人を設立していたのです。
ところがそのタイミングでコロナ禍となり、男性が営んでいた事業は暗礁に乗り上げます。ついには女性からの連絡にも応じなくなりました。
怒り心頭の女性がインターネットでリサーチしたところ、男性が営んでいる事業のECサイトにたどり着きます。どうやら男性は海外で別の女性と暮らしている様子。女性は大金を奪われただけでなく、恋愛面でも裏切られていたのです。
その後、女性は男性に3000万円の返還を請求し、お金は分割で返済されることになりましたが、彼女が心に負った傷は簡単には癒えないでしょう。