ロマンス詐欺への3つの防衛策

——このほかにも大金を失った女性の事例はありますか?

斎藤 先日はタワーマンションに住む30代の女性から、1500万円を失ったとの相談を受けました。彼女はパパ活アプリで知り合った30代の男性と恋愛関係に陥り、投資を持ちかけられたそうです。

当初からこの女性は男性に会うたびに、20~30万円の現金を手渡していたのですが、そのうちに男性は「FXで儲けるからもっと預けてほしい」と、まとまったお金を要求し始めます。

女性は男性に恋愛感情を抱いていたので、総額1500万円を振り込んでしまいました。その後、男性は資産を持って海外に逃亡。1500万円はすべて中国元に替えられてしまったそうです。

信じていたのに! 「国際ロマンス詐欺」で大金を奪われた女たち_b

——このような詐欺師と被害者はどこで出会うのでしょうか。

齋藤 マッチングアプリのほか、何らかのコミュニティやパーティーで出会っているケースもあります。パーティーで知り合った男性に1000万円を騙しとられた30代女性もいました。彼女は有名人とパイプがあるという男性とパーティーで知り合い、元金保証の投資話を持ちかけられて、その口車に乗ってしまった。その結果、元本はおろか利息も支払われなくなってしまいました。

最初は女性に対して親密な態度をとっていた男性ですが、1000万円の返金の話になった途端に態度を豹変させ、LINE上で罵詈雑言を吐くように。ただ、本事例では金銭のやりとりについて契約書が取り交わされていたため、債務名義を取得し強制執行を申し立てることができました。

——パートナーから多額のお金を奪われないために、どのように防衛策を講じればよいのでしょうか。

齋藤 防衛策は主に3つあります。まずは、当たり前ですが男女間でお金のやり取りは慎重に行うこと。ロマンス詐欺を疑う前に、そもそもお金のやりとりをしなければよいのです。

2つ目は、お金を貸す場合には「金銭消費貸借契約書」を都度取り交わすこと。難しければ、簡単な「借用書」でも構いません。それも厳しいなら、LINEなどのメッセージで「お金を貸す」「返してもらう」といった文言を必ず入れたメッセージを送り、保存しておいてください。

3つ目は、決して現金を渡さないこと。現金はお金の流れが追えず、金銭のやりとりを立証することが大変難しいです。

この3点を守るだけで、お金を奪われたときに取り返せる可能性は高まります。詐欺被害に泣き寝入りする方も多いですが、私は詐欺事件も「解決の道筋が立てられる犯罪」だと考えています。現在進行形で財産を奪われている方は、早めに弁護士などの専門家にご相談ください。


取材・文/平林 亮子