19歳と16歳の出会い

――滝本晃司さんがベースを担当することになったのも「ベースを入れたい」という柳原陽一郎さんのリクエストに応じてのことだったと描かれてますよね。

そうそう。

――4人組として「たま」の形が完成したわけですけど、石川さん以外の3人のメンバーそれぞれについて、どんな印象を持たれていますか?

知久(寿焼)くんは最初に会った時、まだ高校生だったんです。僕が19歳で、彼が16歳で。とにかく今よりもジジくさくって、髪の毛も肩まであるし、ひげも伸ばし放題だし、今は割と高い声で歌うパターンが多いですけど、当時は声も低音で、どフォークっていう感じで。

――知久さんの低音ボーカルは想像できないです。

最初から歌もうまかったし、ギターもうまかったんです。おじさんがギターの流しをやっていたらしくて、そこで手ほどきをうけたのか、相当テクニックがあって、高校生とは思えないほどずば抜けてましたね。

性格はきちんとし過ぎていて、それがバンドをまとめる時にいい方向にも行ったし、音の細かいところをまとめてくれたのも知久くんだったりするから、一番若いけど、実質的にはリーダーだったのかなっていうのはありますね。
「たま」は特にリーダーっていうのははっきり決めてなかったんですけど。

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――そうなんですね。

他のメンバー全員にも言えるんですけど、僕は詞で面白い情景を浮かばせるような人が好きで、滝本もそういう感じで。でも、僕や知久くんや柳原は明らかに変な情景を想像して歌うんですけど、滝本は日常の中に非日常的な落とし穴があるみたいな、そういう瞬間を詞に書いてて、ちょっとタイプが違って「こいつの詞はすごいな、面白いな」と最初に会った時から思っていました。