以前にも増して路上でたむろする若者が増えた
コロナ禍も3年目に突入し、いわばウィズコロナのライフスタイルが定着しつつあるなか、ナイトタイムエコノミー(夜の経済活動)も復調してきた感がある。また、2022年10月半ば以降からは外国人の日本への入国制限が緩和され、インバウンド需要の復活も期待できるような状況だ。
こうしたなか、今年1年の渋谷におけるナイトシーンを齋藤氏に振り返ってもらうと、「『ひとつの時代の終わり』という言葉に集約されます」ときっぱり言う。
「2022年初めには新木場ageHa(アゲハ)、西麻布alife(エーライフ)、そして9月に弊社が運営していた渋谷のSOUND MUSEUM VISION(以下、ビジョン)とContact(以下、コンタクト)がクローズしました。クラブ業界を牽引してきた大箱が次々と閉店した2022年は、まさに『ひとつの時代が終わった』と言い表せると思います」
それだけでなく、コロナ前と比べて、週末の夜に若い世代がクラブへ足を運ばなくなってきているという。
では、クラブへ行かないかわりに渋谷ではどのような“夜遊び”が主流になっているのか。
齋藤氏は「コンビニ前や公園、路上などでお酒を飲みながら談笑し、たむろしている姿をよく見るようになった」と話す。
「私たちの立場からすると、そこに集まる若者の中にはスケーターやラッパー、DJ、ダンサーといった次世代のストリートカルチャーを生み出す人もいると思うと、単純に『ダメです』とは言いづらく、非常に難しく感じています。
騒音や迷惑行為などに至った場合は、警察や行政などが介入して事を収めますが、“渋谷らしさ”と“大人としてのマナー”が相反する状況に困惑するばかりです」