賞レース優勝者の「グリーン車」問題
――全国的なコンテストにおける優勝は、東京進出のチャンスだとも言われますが、まだ、そこまでは考えられないですか。
原田 考えないこともないですが、まずは大阪の劇場に恩返しをしたいですね。芸歴9年目ですが、最近ようやく大阪でちょっとは食べられるようになってきたばかりなので、それでいきなり東京と言われてもビビっちゃうところもありますし。
僕ら、これまで仲間には「めちゃくちゃおもろいけど、ほんまウケへんな」って言われ続けてきた芸人なんです。
きん 劇場のレギュラーメンバーでい続けることに必死でしたからね。こんな大きなレースで勝てるなんて、あったとしても、まだまだ先のことだと思っていたので。今もまだ劇場におらせてくれるだけで十分幸せという時期でしたから。
原田 ただ、これからはチャンピオンとしてネタをやらなければならない機会もあると思うんです。チャンピオンが集まるネタ番組、あるじゃないですか。
――去年、今年と放送された「キングオブコントの会」(TBS)ですよね。
原田 あそこでしょぼすぎるネタはできないんで。その準備だけは常にしておかなあかんなとは思ってます。
きん 『野犬』も3年かかったように、僕らは磨くのにもめっちゃ時間がかかるんで。
――ちなみに今、吉本はM-1で優勝すると芸人は新幹線移動が即グリーン車にランクアップするそうですが、キングオブコント王者はどうなのですか。
きん 何回かグリーンで移動させてもらいました。
原田 今のところグリーン車です。これって、ずっとなんですかね。
――一般車両に格下げということもあるのですか。
きん 明らかに集客に貢献していなかったら……。怖いな。腫れ物扱いされちゃいますね。グリーンに乗ってもええやろというぐらいの働きをしていかないと。
原田 優勝したあとの大阪初ステージは、平日の森ノ宮よしもと漫才劇場だったんですけど、お客さん、19人しか来てなくて。
きん そいつらにグリーンはないわな。
原田 優勝したとき、社長に「今まで赤字なのに劇場に出させてもらってありがとうございます」って言ったら、「これからは黒字やね」ってめっちゃ優しい言葉をかけていただいたんです。その直後の大阪のライブで19人やったんで。バレたら、絶対ヤバい。
きん これは内緒にしとってください。
取材・文/中村計 撮影/村上庄吾
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