欲望を満たして生きるのはハードモード
衒示的欲求(高価な消費をしたい気持ち)を否定するつもりはありませんが、これは麻薬のようなものです。欲求を満たす瞬間は非常に気持ちのよいものです。
しかし、持続性はなく、効果が切れるとまた次の欲求を満たす必要が出てきます。また、欲求を完全に満たすことはおそらく不可能です。
古代ギリシャの哲学者・エピクロスは「今ある物で満足できない人は、どれだけあっても満足できない」と述べています。しかし、多くの人は「あともう少しあれば…」と欲望を満たすためにさらに働くことを選択します。
さらにいえば、衒示的欲求を満たすためにはたくさんの浪費をする必要があり、それだけの所得を稼ぐ必要があります。一般的に年収1000万円あればお金持ちという印象があるかもしれませんが、ちょっと羽振りをよくすれば、すぐに資金ショートするのが年収1000万円であり、衒示的欲求を満たすには足りないでしょう。
ちなみに厚生労働省の「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、年収1,000万円以上の世帯は日本全体の12%程度しかいません。
そう考えると衒示的欲求を満たしてラットレースから抜けるということは、日本の上位数%の所得層に入る必要があり、並の所得では実現が難しいというのが現実でしょう。
では、もう一方の他者評価の世界から降りることでラットレースから抜ける道はどうでしょうか。