SNSで発信することをやめた理由
──ドラマや映画、声優など、幅広く活躍を続ける杉咲さんですが、NHK連続テレビ小説『おちょやん』終了後の昨年5月、Instagramを終了されました。その後、どんな変化がありましたか?
思いを発信する場が限られた分、より集中力が上がったような感覚があります。関わった作品に対して愛情がある分、どうしても「知ってほしい」「わかってほしい」という気持ちが溢れて、これまではなんというか、エネルギーを使い果たしてしまうような感覚があったんです。その環境から敢えて離れてみることで、費やす気持ちの深度みたいなものが深まったような気がして。自分にはこの環境が向いているのかなと思います。
──年齢や経験を重ねていくにあたって、自分に身につけたい武器ってありますか?
対話する力が欲しいです。どんな場面においても大切だと思うのですが、とくに人と向き合うとき、そして制作の場では相手の意見を聞いたり、自分の気持ちを丁寧に伝える時間がとても大事だと思います。
ですが私自身、シンプルに適切な言葉を見つける難しさや、正直な想いを伝えることの怖さ、逃げたさ、みんなの前で発言する勇気、そういうものを感じてしまう瞬間があったりして。そんな気持ちを少しずつ乗り越えていきたいです。
その先でしか味わえないような時間を、これからも噛み締めていくことができるように。
取材・文/宮平なつき 撮影/石田荘一 ヘアメイク/小澤麻衣(mod’s hair) スタイリスト/小嶋智子
『ぼくらのよあけ』(2022) 上映時間:2時間/日本
「月刊アフタヌーン」(講談社刊)にて連載され、日本で最も長い歴史を誇るSF賞である星雲賞候補にもなった傑作SFジュブナイル漫画の劇場アニメ化。物語の舞台は、人工知能が発達した近未来、西暦2049年夏の日本。宇宙とロボットが大好きな小学4年生の沢渡悠真は、まもなく地球に大接近するという彗星に夢中になっていた。そんな時、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが未知の存在にハッキングされてしまう。その未知の存在は、2022年に地球に降下した際、大気圏突入時のトラブルで故障したと明かし、悠真とその友達たちに、宇宙に帰るのを手伝ってもらえないかと依頼をする。その願いを聞くことにした悠真たちは、極秘ミッションに挑む。
10月21日(金)より全国公開
配給/ギャガ、エイベックス・ピクチャーズ
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会
公式サイト
https://bokuranoyoake.com
杉咲花 すぎさき はな
1997年10月2日生まれ、東京都出身。ドラマ『夜行観覧車』で注目を集め、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で、第40回日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞・新人俳優賞など、多くの映画賞を受賞。他にも、劇場アニメ『メアリと魔女の花』、ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』、NHK大河ドラマ『いだてん』、映画『青くて痛くて脆い』、NHK連続テレビ小説『おちょやん』、ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』『プリズム』など、数々の話題作に主演・出演し、実績を重ねている。