バッシングにも「信念」で

拡散力の高いツイッターは、棋士や女流棋士たちが自ら情報発信をする上で欠かせないツールにもなっている。「ひふみん」こと加藤一二三は、2016年の藤井聡太との対戦や翌年の引退を機に人気が急上昇し、ツイッターのフォロワーは約17万人に達する。テレビ番組出演の告知をするだけでなく、将棋界の出来事に関するコメンテーター的な役割も担っている。香川愛生(まなお)のフォロワーは女流棋士の中で最も多い約10万人。ゲームや麻雀の話題も取り上げ、幅広い層から支持を得ている。

NHKの将棋番組でMCを務めた経験がある中村太地も、自身のYouTubeチャンネルやイベント出演の告知などに活用している。フォロワーは約3万7千人。棋士・女流棋士ではトップ10に入る多さだ。

中村は、まだ大学生だった2010年にツイッターを始めた 。初めは気が進まなかったが、周囲のノリに合わせて始めてみた。アカウントの名前をひらがなにしたのは、「自分が棋士だとバレたくない」と思ったからだ。

始めた時は手探りだったが、今は棋士が活用することの意義を実感している。寄せられた言葉や声援に、自分の言葉で直接回答したり、感謝の言葉を伝えたりできるからだ。

「2013年の王座戦で、2勝1敗になったあと、連敗して取れなかったときは、たくさんの人から『応援してました』『感動しました』と声が寄せられ、ファンの方が見てくれているんだなと感じました」

ただ、ツイッターでつぶやくことが常にプラスになるとは限らない。自分が言いたいことがうまく伝わらないことや、罵詈雑言が寄せられることもある。

「ツイートをするのは責任も生じる。信念がないと続かないと思います」