強豪国には税制優遇などの共通点

世界一盛り上がっているNWSLの集客策を、WEリーグが参考にしない手はない。だが一方で、WEリーグは1年目を終えて予算不足も浮き彫りになった。どうすれば、予算を増やせるのか?

シカゴの試合には、アメリカに住んでいるWEリーグの岡島喜久子チェアが視察に来ていた。岡島チェアは、アメリカやスペインなどの女子サッカー強豪国が、制度面の優遇を味方につけていることに着目していた。

「NWSLの各チームのオーナーは、それぞれ個人事業主として事業や投資をしていますが、所得に対して、チームへの投資を経費として相殺できます。なので楽しみながら企業をイメージアップさせることができ、さらにチームの株も上がるかもしれない。だから投資したい人は増えているそうです。

スペインでは、女性スポーツへの投資に対して税制を優遇する法律が2015年にできました。それ以来、7年間の間にジェンダーギャップ指数が10位上がって、FIFAランキングでも17位から8位になったそうです。WEリーグも、日本女子サッカー発展のために、こうした取り組みを一生懸命やっていきたいと思っています」

アメリカは大学女子サッカーも盛んだが、発展の背景には、「タイトルナイン」(連邦政府から助成の対象となる男女の教育機会を均等にする法律。1972年に成立し、女性のスポーツ参加率が大きく向上した)の影響があったという。大学女子サッカーの恵まれたプレー環境が、多くのスターを生み出す土壌になっているのだ。

今後は、そうした公の制度面のサポートにも、大きな期待を寄せたい。

 国際大会の決勝で3度アメリカと対戦した元なでしこジャパンのキャプテン、宮間あやは、「女子サッカーを、ブームではなく文化に」と言った。いつか、日本が再び同じ土俵に立つために、できることはたくさんある。今季のWEリーグが、その変化への一歩目を歩み出せることを祈りたい。

取材・文・撮影/松原渓  取材協力/ひかりのくに