座席は20ドルから200ドル超えまで

加入したばかりの長野はまだチームに合流していなかったが、杉田はフル出場し、クロスで2点目をお膳立て。アメリカ代表のDFカーソン・ビケット(生まれつき左前腕と左手がなく、四肢に障害を持つ最初のアメリカ代表選手でもある)とのマッチアップは会場を沸かせた。(https://twitter.com/ThornsFC/status/1555751516862001153?s=20&t=6HkutS66MEMpHjqnk75pag

「今までは、試合を見てくれる人が面白いと思ってくれることにやりがいを感じていましたけど、アメリカに来て、結果を残すプレーがしたいと思うようになりました。自分の名前を呼んでくれる人が増えたのもゴールが増えたからだと思います。

今日は久しぶりのホームでの試合だったので、ゴールの後の歓声を聞いて『ああ、これだ!』という感じがありました。あの声援を聞くと、やっぱりモチベーションが上がります」(杉田妃和)

チーム運営の面で日本との違いについて聞くと、杉田はスタッフの多さを挙げた。

「映像を作る人やカメラマン、メディア対応のスタッフ、選手のストレスやメンタル面をサポートしてくれる人、チームの連絡を毎回メールしてくれる人など、日本でプレーしていた時よりもチームに関わる人は多いです。サポートが行き渡っているので、プレーにも集中しやすいです」

本拠地が同じ、男子のポートランド・ティンバーズとソーンズをセットで応援しているファンも多いという。一方で、新規層を取り込むための工夫も随所に見られた。

まず、チケットの購入方法がとてもシンプルでわかりやすい。スタジアムのイラストから好みの座席を選ぶことができ、カーソルを合わせれば値段が表示される。価格設定も幅広く、プロビデンス・パークの場合は20ドルのゴール裏席から、食事を楽しみながらタッチライン際で見られる200ドル超の席まである。

この日はその特別席もほとんど売り切れで、ハーフタイムに年配の女性グループが片手にビールを持って熱く語り合う姿は印象的だった。

試合後のレポートは、ゴールシーンと共にデータやポイントが箇条書きになっているため、試合を違う角度から2度楽しめる。Twitterでは、ゴールシーンと共にひねりの利いた一言が添えられるので楽しい。

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杉田の看板やコールも聞こえた

杉田のゴールは、「HinaHive where you at?(Hiveは「蜜蜂の巣箱」の意味だが、アメリカでは熱心なファンを指す=ヒナのファンたち、どこにいるの?)」「SUGITA-MANIA! What a FINISH!(杉田マニア!なんというゴール!)」などのフレーズとともに拡散された。