父であり、初代オーナーの細谷正志さんから店を引き継いで12年。ハンバーガーのレシピは基本的に変わっていない。

「甘めのパンに、辛めの味付けのソース。それに肉の旨みがある牛100%のパテ。同じレシピで他の人が作っても、多分真似できないと思う。そのくらいの域に達したと思っています」と正弘さんは自信をのぞかせる。

仙台市民に愛されて約70年、老舗ハンバーガー店が守り続けるもの_3
基本的にレシピは先代オーナーのときから変わっていない

ほそやのサンドは1950年に山形県神町(現・東根市)で産声を上げた。戦後、米軍基地のNCO(下士官)クラブで働いていた正志さんが当時は珍しかったサンドイッチやハンバーガーの調理技術を教わり、多くの人たちに食べさせたいとオープンした。

「ハンドバックください」と言われたオープン当初

国分町に出てきた当初はあまり売れずに苦労した。

「一番町(仙台を代表する商店街)の旦那衆から、サンドイッチやハンバーガーといっても皆わからないよと忠告されて、ひどいときはお客さんから『ハンドバッグください』と言われたみたい」

そんな中で店の売り上げを支えてくれたのは、東北学院大学など近隣の学校に勤めている外国人の先生たちや、新しいもの好きの新聞記者などだった。彼らが宣伝してくれて、徐々に仙台市民にも浸透していった。