球団に鳴り響いた抗議の電話

さらに前出の中日球団関係者はこう続ける。

「投手への転向については、実はファンの方々から、かなりの数の抗議の電話が来ていたんです。『球団は3年ぐらいで結論を出すな』『なぜもっとチャンスをあげないのか』とね。甲子園のスターの凄まじさというか。そうしたファンの“根尾愛の深さ”は、入団時からまったく変わっていません」

まだ4年目と思うファンと、もう4年目と考える球団との、いわばギャップ。もしかしたら、根尾という22歳の青年も、その“4年目の間”を揺らめいているのかもしれない。

とはいえ根尾の投手としての能力は、前述のように素晴らしいものがある。現状のショートリリーフならすでに中日投手陣の中に分け入るだけのボールの威力を発揮している。順調に鍛えられれば、このまま抑えに近い役割も担えるかも知れない。

スタミナがつけば先発候補か。そのためには来季を見据え、あえて2軍で身体作りからやり直すか、それとも1軍に帯同し続け、落合ヘッド兼投手コーチの助言のもと、ゆっくり、それでいて着実に結果を求めていくか。可能性は広がる。

内野手から外野手へ、そして投手へと、あたかも迷走する転向が続いた中で、ようやく輝き始めた原石は、果たしてどんなものを掴み、自らを発見するのだろうか。

写真/小池義弘