「佐藤先生に嫌われてしまえば東京大学に私の居場所はなくなってしまう」

一方で、検察官から「佐藤元教授の指示なら何でもやるのか」と問われた吉崎被告は、次のように語った。

「言われたら何でもやる、というつもりは決してございません。佐藤先生のおっしゃることがすべてだと思っていたわけでもありません。ただ、それを止められなかった自分自身の非を詫びております。

私は長崎大学の出身で、当時、佐藤先生は同大学皮膚科の教授でした。そこからずっと先生についていく形で東京大学まで参りました。私にとって佐藤先生の言葉は、それほど大きな意味を持つものだったのです」

しかし、検察側は「本件講座の別の男性研究員は、佐藤元教授からソープランドに誘われた際、断っている」と指摘。「佐藤元教授の言うことは絶対ではないはずだ」と追及した。

吉崎被告は、「なかなかご理解いただくのが難しいかもしれません」とし、苦悶の表情を浮かべながらこう答えた。

「もし私が先生に嫌われてしまえば、東京大学に私の居場所はなくなってしまいます。私は長崎の医局とも半ば縁を切るような形で東大に来ており、ここで見捨てられれば、今後どうやって身を立てればいいのか分からなくなっていました。

今にして思えば、東大という組織に属さずとも、医師の本分である『患者を診る』ことはどこでもできたはず。そんな当たり前のことすら分からなかった自分の未熟さを恥じています。それほど当時は、先生の言葉をそれほど絶対的なものとして認識していたのです」

ビジネスクラスに乗る吉崎被告(関係者提供)
ビジネスクラスに乗る吉崎被告(関係者提供)

検察側は最後に、「佐藤元教授が欠席した際も単独で接待を受け、『羽目を外してはしゃいだ』と認めており、主体的に犯行に及んだのは明らか」と厳しく断罪。懲役1年2月、追徴金約196万円を求刑した。

対する弁護側は、教授という絶対的権力者に逆らえない「受容型」の事案であるとし、週刊誌報道などで社会的制裁をすでに受けているとして執行猶予付きの判決を求めた。

吉崎被告は最後に「信頼を裏切ってしまった皆様に、深くお詫び申し上げたい。本当に申し訳ございませんでした」と述べ、法廷を後にした。

判決は5月22日に言い渡される。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班