「教育委員会調査」と「子ども調査」で微妙に異なる不登校の要因

私は授業についての根本的な考え方を「授業観」と呼び、菊池道場のセミナーなどで伝えています。大人が押しつける型よりも、たとえば問いを投げかけたら「元気よく話せたか」「どんな表情で言ったか」「どんな仕草をしていたか」といった学習意欲を重視する授業観であるべきだと思います。

ちなみに、四国のこの県は、不登校率が2年連続で過去最多になっている状況です。セルフ授業との因果関係は定かではありませんが、私は、授業が面白くない、という点は間違いなく不登校の要因のひとつと考えます。

不登校については、全国的な関連調査も毎年のように行われています。文部科学省が2024年に全国の小・中学校の教育委員会を対象に行った調査(「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)では、次の回答が不登校の要因として上位にあげられました。

学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった
生活リズムの不調に関する相談があった
不安・抑うつの相談があった
学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた

一方、子どもはどう感じているのかというと、同じく文部科学省が小・中学生を対象に行った調査(「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」令和3年)で、小学生の回答は以下の順でした。

先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)

身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)
生活リズムの乱れ(朝起きられなかったなど)
きっかけが何か自分でもよくわからない
友達のこと(いやがらせやいじめがあった)

学校側は「学校生活に対してやる気が出ない」「学業の不振」などの相談があったと回答し、子どもの側は不登校理由を、先生のことや意欲の低下が原因である、と答え、双方の調査結果は(微妙に)違っています。

学校や授業が面白くないのに、学力アップばかり求められる子どもたち、という光景をこの10年間、日本全国で幾度も目にしました。結局は、学校よりも家が楽しいのです。

文/菊池省三 写真/PhotoAC

『足型をはめられた子どもたち』(講談社)
菊池省三
『足型をはめられた子どもたち』(講談社)
2026/4/9
1,210円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4065404720

【大事に育ててきたわが子がなぜ? どうして子どもが小学校で壊れていくの? 子どもはどうすれば成長するの? その疑問への回答と解決策!】

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、日本テレビ系列「世界一受けたい授業」などで、崩壊した教室を立て直す授業が紹介され大反響を呼んだ、菊池省三先生のコミュニケーション教育。子どもの生きる力を伸ばすメソッドへの支持は拡がり、講演や研修会は年間250回に及んでいます。
現役を引退し、教師の指導者として全国の小学校に招かれ、10年のあいだに行った飛び込み授業(示範授業)は3000時間超。各地の教室をもっともよく知る教育者です。
そこで出合ったのが「机の下の足型」に代表される子どもを「型にはめる教育」。
今子どもたちの現状は、不登校が44人に1人、暴力行為やいじめも過去最多。一方の教師も、精神疾患で休職する人数が過去最多を更新し、なり手不足が進んでいます。

子どもの98%が通う公立小学校で、学習意欲を上げさせたり、事態を改善させたりするために対症療法として行ってしまいがちな「型にはめる」教育が、悪いサイクルとなっています。

本書では、公立小学校の現状を知っていただき、その解決策として荒れた子どもたちを変えてきた菊池先生のコミュニケーション教育を紹介。たとえば学習意欲は、型にはめなくても、子どもの内面が成長すれば増すことがよくわかります。
保護者のみなさんにとっても、子育てについての認識が180度変わる「ほめ方」や「叱り方」「語彙の増やし方」「考える力のつけ方」など、子どもを社会に送り出すために、家庭でできる実践法をお伝えします。

第1章 足型をはめられた子どもたち――学校における教育虐待
第2章 なぜ、コミュニケーション教育で子どもは成長するのか
第3章 今風と昔風の学級崩壊――立て直し請負人による飛び込み授業
第4章 コミュニケーション科の学びとは? その効果とは?
第5章 堀之内くんと学級の2年間――集団の中で個を育てる
第6章 家庭でもできる菊池式実践法――子どもを「眺める」から始める

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