「国債は国民の資産だから大丈夫」は本当か
私の借金、つまり負債は膨らんでいますが、弟にとっては私への貸付金は資産ですので、私は弟に「佐々木家にとっては借金ではない」と言ってよいでしょうか。仲良しの弟は「なるほど」と言ってくれるかもしれません。ただ、弟はひとつだけ質問すると思います。「兄貴は俺から借りた金を何に使ってるの」と。
弟からしてみれば、確かに私に貸したお金は弟にとっての資産ですが、それが私への貸出金なので、弟にとっての本当の資産は、私が弟から借金をして買っている私の資産ということになります。だから弟は、兄貴である私が弟からの借金で何を買っているのかを当然気にするのです。私が弟から借りたお金で何を買っているのかが、「佐々木家」全体で考えた場合、重要なポイントとなります。
それでは話を「佐々木家」から「日本国」に戻しましょう。僭越ながら、「佐々木家」における私が政府で、弟が国民です。政府は国民から借金をして、その代わりに国債を発行しています。「私は国債なんて持ってないから、政府にお金なんか貸していないよ」という声が聞こえてきそうですが、間違いなくこれを読んでくださっている皆さんも政府にお金を貸しています。
我々は銀行に預金をしたり、生命保険・損害保険に入ったり、年金に掛け金を払ったりしています。これらはお金を「貸している」のではなく、「預けている」という言い方をしますが、実際には「貸している」行為とほぼ同じです。もちろん、法律上、契約上の違いはありますが、そうした細かいニュアンスの違いは皆さん分かっているでしょうから、あえてほぼ同じと考えます。
そして、銀行、生損保会社、年金基金は、我々から「借りた(預かった)」お金を、国債等で運用しています。国債の保有者の14.6%は銀行等、16.2%は生損保等、9.5%が年金基金(公的年金+年金基金)です。これらの資金はもともと皆さんの預金や保険や年金の掛け金ですから、間接的に皆さんが政府に貸していると言えます。
さて、それでは我々国民が貸しているお金で政府はどのような資産を買っているのでしょうか。2023年度末時点の状況を見てみると、政府の負債は国債も含めて1474兆円です。一方、資産は「有価証券・運用預託金」が合計258兆円、道路、河川、国有施設などの「有形固定資産」が197兆円など合計778兆円です。
つまり、696兆円の債務超過となっています。政府の負債はたしかに国民の資産ですが、政府は負債ほどの資産は保有していないので、国民の資産としての国債も実際には含み損を抱えていることになります。













