毎日が情報収集―友人・同僚との会話からヒントを得る

一概に何が正しいと言い切るのは難しいです。だから、世の中の仕組みがどのようになっているのかを理解することが大事だと思っています。誰かの意見を鵜呑みにせず、「本当にそうなのだろうか」と考えて、自分で調べるようにしてください。

そのだれかは自分が見える世界だけで物事の良し悪しを考えている可能性があります。そのだれかの意見は自分や自分の家族、親戚、大切な友人にとっても本当に良いことなのか考えてみてください。

スーツ姿のチーム(画像はイメージです)
スーツ姿のチーム(画像はイメージです)
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ひとつエピソードを紹介したいと思います。あれはちょうどアベノミクスで株価が上昇し、日本の景況感が良くなってきた時でした。会社の同僚たちと談笑をしていた時に、ある若手が「株価が上昇して景況感が良くなって、消費が上向いているなんて言われてますけど、僕の周りで新しい家電を買ったとか、そんな景気のいい話なんてまったく聞かないですよ」と言ったのです。実は、私、その前の週末に新しいテレビを購入していたのです。その時、「自分の周りの世界」は本当に狭いんだなと思いました。

新幹線に乗ってボーッと窓から外を見ていると、いつまでも街が続きます。それを見ていると、私の目の中に入ってくる家一軒一軒に住んでいる人たちが、何を考え、どう行動しているかを把握するのは不可能だと思います。

しかし、だからこそ、可能な限り情報を収集し、世の中で今後なにが起きそうか察知することの価値は高いと思います。日々の友人や同僚との会話にもアンテナを伸ばしていることが重要だと思います。

投資に関しても、時折「なにに投資したら儲かりますか」などと聞かれることがあります。そうした問いに対してストレートに答えるのは難しいと思います。なぜなら、本来「なにに投資したらよいか」を考えるプロセスの方が重要だからです。

日々の友人や同僚との会話、メディアから流れるニュースなど、断片的な情報を自分なりにつなげて、自分なりの結論を考える。本当に聞くべきなのは、その断片的な情報なのではないかと思います。

その結果、あなたは別の投資対象を結論として選ぶことになるかもしれないからです。そうした思考プロセスを経ずに、単に投資対象をだれかから聞いてそれに投資しているだけでは、投資は成功しないと思います。

文/佐々木融 写真/PhotoAC

『インフレ・円安・バラマキ・国富流出』(日経BP 日本経済新聞出版)
佐々木融
『インフレ・円安・バラマキ・国富流出』(日経BP 日本経済新聞出版)
2026/1/25
1,100 円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4296125951

【内容紹介】
円の価値が毀損し続ける中、どのように自分の資産を守るべきか
「いつか円高に戻る」という過去の経験則は通用しない


本書は、為替の第一人者が、円安の根本原因を解き明かし、今後起こりうるシナリオと防衛策を提示する。静かに進行する危機の本質を把握し、インフレの時勢を生き抜くための一冊。

【著者より】
今回の本では、強かった円がなぜ弱くなってしまったのかという構造変化を中心に解説し、今後の見通しについても私の見方をご紹介したいと思います。
「円」という紙切れは今、信用を失い、取り戻せなくなる瀬戸際に立っているような気がします。正直なところ「時既に遅し」と思っているのですが、それでも本書を書くことによって、少しでも多くの人がそれに備えることができればと思っています。

【目次】
第一章  お金、投資、マーケットのそもそも
第二章  なぜ円はこれほどまでに弱くなったのか
第三章  日本政府の借金はなにが問題なのか
第四章  マイナスの実質金利から抜け出せない円
第五章  止められない日本からの資金流出
第六章  失われた30年はなぜ失われたのか——取り戻すために必要なこと

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