循環型花見を目指しナカメサーキュラーチャレンジ始動
「近年は警備員の方やゴミステーションも増え、商店街の皆さんも大勢でサポートされてかなり改善されました。それでも気になるのがゴミ問題。桜まつりの時期はどのお店も店頭販売をしたり、スーパーのお惣菜も食べ歩きができるメニューに変わります。
売る側がゴミ箱の設置はもちろん、ゴミ袋を用意して商品と一緒に渡してゴミ捨て場への投棄を促すなどの努力も必要だと思います」と語る小高氏の言葉のように、地元が雑踏対策とともに苦労したのがゴミ対策だ。
昨年は約5.3トンものゴミが出た桜まつり。行政はゴミの持ち帰りを推奨しているが、上野恩賜公園や新宿御苑のような滞在型ではなく、歩きながら桜を観賞するスタイルのため、飲食後の容器をポイ捨てする人も少なくない。
「店頭販売する店舗にはゴミ箱設置をお願いしていますが、厳密に言えば店舗の敷地内のゴミは事業ゴミ、店頭の道路に落ちているゴミは道路公園課が落とし物として扱うので清掃事務所に勝手に持っていけないという難しさもある。
また、花見客の“ずっとゴミを手に持っているのも煩わしい”という気持ちもわかる。だからゴミは持って帰ってもらえないものと考え、その場で処理する方法を模索しました」(柏井氏)
そこで目黒区と商店街が協力して、土日を中心に中目黒駅や東急ストア前、アトラスタワー前など多いときで6ヶ所にゴミの分別場所であるエコステーションを設置。運営には商店街をはじめ、中目黒村美化委員会、各町会、目黒学院の生徒もボランティアで協力した。
さらにゴミ問題を深化させ、2022年より、一般社団法人中目黒駅周辺地区エリアマネジメントが主体となり桜の時期に大量に廃棄されるゴミを資源に変える挑戦が始まった。
2025年からは名称を「ナカメサーキュラーチャレンジ」とし、今年は目黒川沿いにあるイベントスペース、フナイリバに設営されたフードコートで、ポリスチレン素材の循環型カップとリユースカップを使用。回収ステーションで集めたプラスチックごみや割り箸をリサイクルして資源として循環させ、使い捨てゴミをゼロにする試みが実施された。
できた堆肥は中目黒の公園の緑化に使う想定もされ、ゆくゆくは花見で出たゴミが、翌年の桜を育てる資源になることを目指している。
「まだまだ挑戦は始まったばかりですが、中目黒にはいろんな知恵を持つ企業がある。地元をはじめサーキュラーエコノミー推進企業が集結してゴミの出ない循環型・住宅地型花見のモデルケースとして横展開できれば。
賛否あった『滞留禁止』の横断幕も昨年比で混雑緩和の手応えを確認できました。今後は出店者に対してゴミ箱設置と分別の徹底、行列発生抑制等のガイドライン強化・多言語化を実施する予定。
警備員配置やぼんぼり点灯は、靖国神社の開花宣言から約2週間を目安に設定していますが、早咲き・遅咲きによるズレもある。点灯スケジュールの開花連動ロジックを改善し、ズレ時の代替運用・広報手順を整備したい。
そして今季の取り組みを総括し、エコステーションの増設・配置最適化などを検討し、来季計画へ反映させたいと思っています」(柏井氏)
さまざまな要因が偶発的に発展し、気がついたら桜の名所になってしまった住宅地・中目黒。紆余曲折を経て、循環型花見に向けて歩みだした。
文/永浜敬子













