「ワンオペ」や「ネズミ混入」問題も乗り越えた剛腕ぶり
ただし、「すき家」も順風満帆というわけではなかった。世間からの批判が最高潮に達したのが、従業員がワンオペ(1人勤務)の過酷な労働環境が表面化した問題だ。店舗の拡大ペースが速かったことに加え、24時間営業と新メニューの度重なる追加という顧客至上主義が仇となり、スタッフが犠牲になった。
この件を調査した第三者調査報告書には、交代のスタッフが出勤できずに48時間勤務することもあったという驚きの実態が記録されている。
この問題を受け、ゼンショーは店舗を地域別に分けて分社化し、従業員の声がマネジメント層に届きやすい体制を整えた。その後もデジタル化による業務負荷軽減に努め、オペレーションは劇的に簡略化された。徹底的にワンオペ問題に向き合った結果だ。
迅速に問題解決を行なえたのも、小川さんの強烈なリーダーシップによるものに他ならない。
「すき家」は2025年にネズミなどの異物混入問題が発覚した際も、ショッピングセンター内などの一部を除く全店を一時閉店し、害虫・害獣対策のため、専門業者による駆除施工を実施した。ほぼすべての店を一斉に閉鎖するという意思決定も潔い。SNSでは「すき家」を応援する声まで聞かれたほどだ。結果として、信頼回復も早かった。
ゼンショーは、2025年6月に小川賢太郎さんの次男である小川洋平氏を、代表取締役社長兼CEOに任命している。長男の小川一政氏は一時副社長を務めており、後継者候補であるようにも見えた。しかし、現在は取締役として名を連ねているに留まっている。
これは、後継者として次男の小川洋平氏を指名したということだろうか。
かつての大戸屋がそうだったように、創業者の突然の逝去でお家騒動に発展する例は後を絶たない。小川賢太郎さんは禍根が残らないよう、後継者選びまでもやり切った印象がある。名経営者の突然の訃報が残念でならない。
取材・文/不破聡













