チケット4万枚以上が即完売、前日には1万人を超える観客が寝泊まりを…
しかし、吉田拓郎一人だけで12時間演奏し続けるのは、体力的にもレパートリー的にも厳しい。そこで声が掛かったのが、かねてから深い付き合いのある、かぐや姫だった。
既に4月の解散が決まっていたかぐや姫だったが、1日限りの再結成でコンサートへの出演を引き受ける。
開催日は1975年8月2日に決まり、前代未聞の大規模コンサート『吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋』は本格的に動き始めた。
チケットが発売されると、両アーティストの人気もあって4万枚以上が即完売となる。
さらには1週間前から一部の熱狂的なファンが会場前に集まり始め、前日には1万人を超える観客が寝泊まりをしていた。
8月2日、コンサートが本番を迎える頃には、主催者・媒体によっては6万人超、警察発表では7万5千人ともされた観客が会場を埋め尽くしていた。
これほどの大規模なコンサートは国内では初めてのことだった。
午後5時、予定通りにコンサートが始まると、吉田拓郎の『ああ青春』で幕を開ける。
それ以降、かぐや姫と交互で演奏が続き、合間には山本コウタローとウィークエンドや風といったゲスト・ミュージシャンたちが登場。コンサートは夜通し続いた。
そして午前4時半頃、12時間続いたコンサートはようやく終わりを迎える。
吉田拓郎が最後に歌ったのは『人間なんて』だった。会場が大合唱に包まれる中、かすれた声で最後の力を振り絞るように歌う。
曲が終わって吉田拓郎がステージから降りると、会場からはアンコールの声が上がった。
だが、「吉田拓郎は疲労困憊で一歩も動けません」というアナウンスにより、コンサートは幕を閉じた。
文/佐藤輝 編集/TAP the POP













