ベンチまでも使えなくする理由とは
区によれば、こうした対応は今年突然始まったわけではない。警備員の配置や声がけは以前から行なっており、昨年は滞留防止のため、キープアウト(立ち入り禁止)テープも使っていたという。
「ただ、テープはどうしても景観上、あまり良くなかったというところで、今回は横断幕に変更することになりました」
昨年は黄色と黒のテープの派手な規制で、今年は桜色の横断幕。区としては景観への配慮から変更したという説明だが、横断幕自体もやはりかなり強い存在感を放っている。安全対策としての必要性と、桜の名所としての景観。その両立の難しさがうかがえる。
さらに気になったのが、ベンチの封鎖だ。ロープが張られ、座れないようにしている理由は何なのだろうか。
「こちらは例年行なっている取り組みなのですが、どうしてもベンチを解放してしまうと、買ったものなどを座って食べる方が出てきます。そうなると、必然的に滞留の元になってしまうという判断から、このようにしました」
花見といえば、立ち止まって眺めたり、座って桜を見ながら飲食したりするイメージを持つ人も多いだろう。だが目黒川では、そうした楽しみ方そのものを抑える方向で安全対策が取られていることになる。
「滞留が起きてしまって、雑踏事故とかが起きてしまうのは区としては防ぎたいです。そういう意味でも、事故が起こらないように事前に対策をとっています」
一方で、こういった措置は近隣住民からの強い要望に押されて導入されたというわけではなく、あくまで区として事故防止の観点から判断していると強調した。
「花見をされに来られた人からは否定的なご意見ももちろんありますが、肯定的な意見もあります」
実際、歩行も困難なほどの混雑ぶりに「安全のためには仕方ない」という受け止めはあるだろう。だがその一方で、桜の風景に横断幕がかかり、橋の上では立ち止まれず、ベンチにも座れない。そうした状況を「やりすぎでは」と感じる人がいても不思議ではない。













