日本の戦略を明確な勝利と位置づけたNYT

NYTは3月19日の記事で、トランプ大統領が真珠湾攻撃について「なぜ真珠湾について教えてくれなかったんだ?」と不適切なジョークを飛ばした場面も報じている。

その時の高市首相の反応について「高市氏は目を丸くし、深呼吸をしているように見えた。彼女は膝の上で腕を組み、何も言わなかった」と描写した。

NYTはこの沈黙を、タブーを破る大統領に対する優れた「自制(restraint)」であると高く評価した。欧州の同盟国がトランプ氏から厳しい要求を突きつけられている状況と対比させ、日本の戦略を明確な勝利と位置づけたのである。

高市首相を「ごますり巧み」と断じた朝日新聞、「愛嬌」と評価したニューヨーク・タイムズ…日米首脳会談で“別の物語”が描かれた理由_2

二つの有力紙は、同じ会談を完全に正反対の物語として伝えた。なぜこれほど解釈が違うのか。そこにはメディアが持つ深い構造的な理由が隠されている。

最大の理由は、両紙の「誰を批判したいか」という視点の違いである。実は、朝日新聞もNYTも、それぞれの国ではリベラル(左派・進歩派)を代表するメディアという共通点がある。しかし、国境が変わることで優先する目的が逆転してしまうのだ。

NYTの立場から見れば、最大の批判対象は自国のトランプ大統領である。NYTはトランプ政権を、世界のルールを壊す危険な存在とみなしている。

彼らの目的は高市首相を純粋に褒めることではない。「トランプはおだてれば機嫌が直る、予測不能で幼稚な人物だ」と読者に伝えるための便利な道具として、高市氏の「愛嬌」を使っているのである。