独房に閉じこめられて知ったこと
取調べが終わると、独房に戻される。けれどもそこは、心が休まるどころか、乾き、削られる場所だった。
まず、ひどく狭い。目算で横幅約2メートル強、奥行き約4メートル、天井高3メートル。トイレのスペースを含めてこの広さだから、布団を敷けば足の踏み場はほとんどない。ここにアメニティの数々がところ狭しと置かれている。差入れの本も加わると、さらに狭くなる。
大学入学を機に実家を出てから、私はずっとワンルーム暮らしだったけれど、どんなに狭い部屋でも五畳はあった。かつてのワンルーム生活すら恋しくなるほどだった。
加えて、陽の光が入らない。
奥側の壁の上の方に窓はあるものの、鉄格子がはめられ、その外にはさらに、すりガラスがはめ込まれている。すりガラスのせいで、太陽光は届かない。外が晴れていようと曇っていようと、薄ぼんやりとした明るさしか感じられず、時間の流れをつかむことさえ難しかった。
反対の廊下側も分厚い鉄の扉で閉ざされ、内側からは開けられない。扉でない部分には食器口があるものの、その周囲には鉄格子がはめられている。光をさえぎる設計に、どのような意図があるのかは知らない。
けれど、光を奪われることで、心の換気ができなくなり、気持ちは内へ内へとこもり、じわじわと息苦しさが募ってゆく。
プリズンの日常の中で陽の光を浴びられるのは、週に2、3度の「運動」の時間だけだ。屋上に移動して、ひとりずつの檻の中を30分ほど歩きまわる。これが唯一の外気と太陽に触れられる時間だけれど、天気が悪ければ中止になる。
現実には、陽の光を浴びられる時間は1週間でわずか30分しかないか、まったくないこともあった。それ以外は、基本的に独房か取調室に閉じこめられていた。
数日が経ったころ、私はふとつぶやいた。
「これじゃあ、セロトニンが生まれないな……」
メンタルヘルスの本で、セロトニンには精神を安定させる作用があると読んだことがあった。太陽光が不足すると、体内でセロトニンが分泌されにくくなり、意欲が低下したりストレスを感じやすくなったりするという。
太陽光を浴びることは、気分の安定や意欲の維持に欠かせない。プリズンではその太陽の恵みが欠乏し、中の人の気力と生命力を削ってゆくのだ。













