「老いた街」が首都圏各地で誕生することに

「5000万円でも売れない」郊外マンション苦戦の裏側…マンションが建つ駅、消える駅の分かれ目とは_3

具体的には、埼玉県では浦和や大宮、千葉県では市川や船橋といった、都心へのアクセスが良く、共働きのパワーカップルに選ばれるようなエリアに絞って開発するという戦略だ。

現に、これらのエリアでは現在も数々のプロジェクトが立ち上がっており、中にはファミリータイプで1億円を超えるようなタワマンも誕生しているが、引き合いは強いという。

しかし、郊外でも少し外れたエリアでは、新規開発は難しくなっている。「これから郊外の中でも優勝劣敗が進んでいく」とA氏は予言する。

つまり便利なエリアはより便利に、不便なエリアはより不便になっていくという予想だ。特に、急行や快速が止まらない駅などでは、真っ先に開発候補から脱落するようになるという。

マンションの新規開発が止まったエリアで発生するのは、住民の新陳代謝の停滞だ。地方都市がそうであるように、子連れ世帯の新規流入が落ち込み、高齢者の比率が増えることで、街の活気がなくなっていく。

こうしたエリアでは学校の統廃合も加速するため、さらに開発候補から外れることになる。資産価値の面からも、中古価格も下がっていくこととなり、冒頭の植田社長が予言した郊外マーケットの崩壊は現実味を帯びる。

総務省の人口動態調査によると、すでに埼玉県や千葉県、神奈川県でも人口が前年実績を割るなど首都圏は人口減少局面に入っている。これまで首都圏というだけで生き残っていた自治体や駅も、決して楽観視できる状況ではない。

今後10年、20年というスパンで見ると、高齢者ばかりの「老いた街」が首都圏各地で誕生することになりそうだ。そのカウントダウンはすでにはじまっている。

文/築地コンフィデンシャル 写真/shutterstock