阪神を応援して認知症が改善した例も
――『「幸福感」に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう』とは、なかなか攻めたタイトルですね。
牛窪恵(以下、同) 私、タイガースの試合を年間40試合前後も現地観戦する、すべての試合をチェックしているいわゆる“ガチ勢”なもので、職業柄、「阪神の本を書きたい!」とずっと思ってたんです。
それで、企画を練っている中で、マーケティングの法則から阪神ファンの行動を分析してみると、阪神ファンには幸福感とリンクする研究結果や変数(要素)がいくつもあることに気づいたんです!
ということで昨今、職場やプライベートでも注目されるウェルビーイング(Well-being=心身ともに満たされた良好な状態)をテーマに据え、紆余曲折の末、このタイトルに落ち着きました。ちょっと長いですが(笑)。
――幸福感とリンクする阪神ファンの行動、というのは例えば?
阪神ファンといえば大声援のイメージですよね。実際に2023年の日本シリーズ、阪神対オリックス第3戦での応援の音量を、神戸新聞の記者が騒音計アプリを使って計測したところ、9回裏には98.6デシベルを記録したそうです。これは「5メートルの距離でブルドーザーの音を聞く」のと同じレベルです。
――めっちゃうるさい(笑)。
ですが、実は“大きな声を出す=叫び”には「シャウティング効果」といって、怒りや不安といった感情を発散する浄化作用が確認されているうえ、健康・体力アップ、アドレナリンの分泌といったポジティブな働きをもたらす可能性も高いんです。
――たしかに阪神ファンにはストレスを抱えてる人はあまりいなさそう、という勝手なイメージがあります(笑)。
ですよね(笑)。他にも「どうせ勝てない」と事前に諦め気分でいることで、いざ勝ったときにサプライズ効果による強い喜びがもたらされる「報酬の予測誤差」や、雨上がりの甲子園の土の匂いなどの五感を刺激されることで起こる、脳の活性化やストレス解消効果などなど……とにかく阪神ファンでいることがウェルビーイングに直結するんです!
――そ、そうなんですね……。しかし、その理論だと他球団ファンはあまり幸せではない?
そんなことはありませんよ! そもそも推し活自体に、人が幸福感に満たされるポジティブな働きがあることが、多くの研究結果から分かっています。
ただ、やはりその効果が顕著なのが、阪神ファンなんです。たとえば23年、タイガースがリーグ優勝を決めた翌日から年末にかけて、大阪府枚方市のクリニックが軽度認知症の患者さん855人を調査(※)したところ、タイガースの優勝によって彼らの症状を示すスコアが、明らかに改善したそうです。
各種統計などから推察すると、タイガースの優勝は、国内で約1万6000人の軽度認知症患者の方々に「良い影響」を与えたとも考えられる、といいます。
(※2023年「はつたクリニック」院長・初田裕幸氏による調査結果)
――推し活、おそるべし……。
















