洗脳した占い師の実名を明かさない理由
――占い師の方による洗脳を受けていた小阪さんは、言われるがまま20キロも太り、自身のブログも乗っ取られ、言葉による暴力だけでなく、最終的には物理的な暴力を受けるまでに。今回、書籍にはその詳細が赤裸々に綴られていますが、この占い師の方の実名を公表しなかったのはなぜですか?
小阪(以下同)もし、私が名前を公表してしまったら、その影響は彼女だけでなく、彼女と一緒にお仕事をされている人などにも及んでしまうからです。そうした人たちの生活まで壊してしまうようなことは避けたいと思いました。
『六本木洗脳』は、誰かを傷つけるために書いた暴露本ではありません。自分が過去と向き合い、洗脳の後遺症を完全に克服するための真実と勇気の本であり、読んだ人が少しでも救われてほしいという思いを込めて書いたものです。
この18年間、私は“なんであんなことをしてしまったんだろう”とずっと後悔してきました。でも、この体験が誰かの救いになったら、私は洗脳されたことすらも感謝できるかもしれない。
だから、思い出したくない過去も細かく書きました。この本で誰かひとりでもいいから救いたいというのは、今後の私の人生のテーマのひとつでもあります。
――率直に今、占い師の方に対して恨みや憎しみといった感情はありますか?
謝罪はしてほしいですが、恨みや憎しみの感情はないです。誰かを恨んだり憎んだりしている自分は、私自身が愛せないですし、そもそも洗脳されてしまった根源は、自分を愛せていなかったからだと思います。
実際に洗脳されてみて、自分を愛せなければ、洗脳から解放されることは絶対にないということが、イヤというほどわかりました。
洗脳が解けるということは、“現実に帰ってくる”ということでもあるんです。“自分はなんであんなことをしてしまったんだろう”という思いが一気に襲いかかってくるけれど、過去には戻れない。
罪に時効はあるのに、過去はいつまでも追いかけてくるんです。これに対処するには、自分を許してあげることしかなくて。相手を許すのではなく、自分を攻めない心を育てること。これは、洗脳された人が必ずしなくてならないことだと思います。














