2024年の技能実習生の失踪者は6510人

Aが就農したのは2018年のことだ。もともとは飲食店に勤めていたAは家族5人で露地ピーマンの作付けからスタートしたという。その後はミニトマトやネギの栽培と拡大していった。2023年には新岩手農業協同組合から特別功労賞を表彰し、その時のことを会社のブログにてこう綴っている。

〈令和5年●●株式会社(※編集部伏字)に特別功労賞を頂き、ありがとうございます、人々と環境と地域への貢献の情熱をもっと燃せいるように頑張ります。(原文ママ)〉

逮捕されたA(写真/会社HPより)
逮捕されたA(写真/会社HPより)

岩手県内の農協関係者が語る。

「一組合員でピーマンとネギの受託販売を行なっていましたが、ピーマンの量は管轄内の組合員の中では多い方でした。そういったこともあり地域に貢献したとして表彰されたのだと思います。昨年の10月に従業員の方たちが逮捕されたという話は現地の支所から聞いておりましたが、その後もネギの出荷の時期に入っていましたから普段通りに出荷されていたと聞いています。

今後のことについてはどうなるのかなどはまだ聞いていないのでわかりません。これまでに同じケースで県北で逮捕されたという話は私は聞いたことありません。

今回は失踪した外国人実習生がAさんの会社に来ていたということですが、周辺では逆に外国人実習生の方が行方不明になってしまったなどの話を耳にします」

出入国在留管理庁によると2024年の技能実習生の失踪者は6510人。前年からは3243人減少したものの技能実習生の1.2%が失踪している計算になる。

失踪の理由の多くは、低賃金と不当な扱いだと言われてきたが、こうした背景をふまえて従来の技能実習制度が見直され、2027年4月1日からは育成就労制度が始まる。

ピーマンの他にトマトやネギも栽培していた(写真/会社HPより)
ピーマンの他にトマトやネギも栽培していた(写真/会社HPより)

育成就労制度が技能実習制度と大きく違う点は、日本で働き続けてもらう人材確保を前提にしている点だ。前出の社会部記者が解説する。

「新制度では人権侵害などがあった場合、いつでも転職することが可能になる。全国各地で失踪した技能実習生による窃盗や強盗事件などが多発していることを考えれば、失踪者を減らすことは治安回復に繋がる。一方で外国人増加による治安の悪化も叫ばれ難しい問題だ」

技能実習生の失踪は都会でも、地方でも起きている。その受け皿のあり方は日本全国が直面する課題なのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班