AI画像を持ち込んでくる客が増加
「美容師と理容師では、習っている技術や資格が違います。理容師は実技で角刈りをほぼ必須で習いますが、美容師は基本的には習わない。だから美容室で角刈りをオーダーすると、内心困る美容師は多いと思いますよ。頼んで断られることは少ないと思いますが、美容室では“それっぽい何か”になる可能性は十分あります」
そして、角刈りと並ぶ昭和の男性スタイルといえばパンチパーマだが、これもまた一見簡単そうに見えて、実は高度な技術を要する。
「僕の地元にはパンチパーマのうまい理容室があるのですが、そこは連日予約でいっぱい。角刈りやパンチパーマに憧れている人は今もいますし、それをしっかり作れる理容師は重宝されています」
さらに話を聞いているうちに、最近の美容師事情についても興味深い話が飛び出した。かつては芸能人の写真を持ってくるのが定番だったが、今ではAIで生成した画像を見本にする客が増えているという。
しかしそれに頭を悩ますことも……。
「AI画像は顔の大きさ、首の細さ、頭のバランスがすべて“理想値”。いわば黄金比です。でも実際のお客さんの骨格は違う。その理想と現実の差をどう埋めるか。毎回、頭の形を見て、どうすれば理想に近づけるかを考えています。もちろん芸能人の画像もそれに近いのですが、AIは言ってみればイラストに近い。これにしてくれというのはなかなか難しいです」
頭の形から考えてスタイルを作るという点では、角刈りも同じだ。美容師や理容師は、ただ髪を短くしているわけではない。一人ひとりの骨格に合わせ、立体を作り出している。
中でも、最も骨格の影響が出やすく、ごまかしが効かない髪型が角刈りということなのだろう。
どこまでこだわるかによって、価格の感じ方は変わる。しかし、素人目には簡単に見えるものほど、プロの世界では難しいことがある。そう考えると、5000円の角刈りは、決して高いとは言い切れないのかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部













