複雑怪奇な消費税が招く事業者の混乱
今回の衆院選で焦点のひとつとなる「消費税減税」には、食料品消費税ゼロが「非課税」か「免税」かというやっかいな問題もある。
「免税」の場合、課税仕入れにかかる消費税額を控除することができる。いっぽう、「非課税」は仕入れにかかる税がコストとなり、飲食店の利益を圧迫することになるのだ。
日本維新の会の藤田文武共同代表は、1月24日のニコニコ主催の「ネット党首討論」にて、免税寄りの発言をした。
これに対して、国民民主の玉木雄一郎代表は、自身のXにて「免税取引」は「仕入れ税額控除可→還付金→事務負担大、資金繰り懸念」とそのメリットとデメリットを示している。控除ができる免税取引であっても事務負担が大きいうえに、還付までに時間を要するため、キャッシュフローが悪化するというのだ。
飲食店を経営しているのは、個人事業主や零細企業が多い。ただでさえ、インボイスの導入で事務負担が増えている中、更なる負担を強いることにもなるわけだ。
飲食店と卸売業者との、神経戦とも言うべき微妙な駆け引きが起こる懸念もある。
食材を提供する卸売業者が、消費税分を値下げすれば飲食店には損は生じない。例えば、現行で1万円の食材に800円の消費税がかかっていれば、売上消費税から800円の仕入税額控除を受けることができる。食料品の消費税がゼロになり、卸売業者が価格を1万円に下げれば、飲食店への影響はない。
しかし、すでに仕入れを済ませた卸売業者が、1万800円で売れると想定していた食材を1万円で販売するだろうか。消費税分を価格に転嫁するかどうかの決定権は、事業者が握っている。食料品の税率がゼロになったとしても、その分の価格を引き下げる義務はない。つまり、卸売業者は便乗値上げができる。
これは事業者側に非があるのではなく、消費税という仕組みそのものが抱えている問題だ。
当然、飲食店には消費税分の値下げをしてほしいと要求することができる。価格交渉力が強い大手飲食チェーンはまだしも、仕入れ量が少ない個人店の要求が簡単に通るとは考えづらい。













