客数は1割増が続くサイゼリヤの圧倒的な強さ

「庶民の味方」として知られるサイゼリヤだけに、値上げとなれば利用者への影響は小さくない。ただ、松谷秀治社長は、値上げをしても「アフォーダブルプライス内」に収める考えを示している。

アフォーダブルプライスとは、簡単に言えば、消費者が無理なく支払える手頃な価格のことだ。サイゼリヤは、ほかの外食店と比べたときの安さを保つことを重視してきた。つまり、価格を引き上げたとしても、「それでもほかの店より安い」と感じてもらえる水準を維持する方針だと考えられる。

近年は、多くの外食チェーンが相次いで値上げしている。その結果、価格を大きく変えずにきたサイゼリヤの安さが、以前にも増して目立つようになった。

サイゼリヤの2025年9月から2026年5月までの国内平均客単価は862円だった。平日には税込500円のランチも提供しているため、昼食時だけを見れば、さらに低い金額で利用している人も多いとみられる。

値上げ検討を発表したサイゼリヤ(写真/shutterstock)
値上げ検討を発表したサイゼリヤ(写真/shutterstock)
すべての画像を見る

食事補助サービス「チケットレストラン」を運営するエデンレッドジャパンが2026年6月に発表した調査では、20~50代のビジネスパーソン600人がファストフード店で使う平均ランチ代は796円だった。前年より約1割上昇し、800円に迫っている。

調査方法や利用する時間帯が異なるため単純には比べられないが、サイゼリヤの平均客単価862円との差は66円しかない。かつては「安く、手早く食べるならファストフード」というイメージが強かったが、現在ではサイゼリヤも同じような価格帯の選択肢として意識されやすくなっている。

実際、マクドナルドでは客数の伸びに変化が見え始めている。2026年6月の客数は前年同月比で1.5%減少した。同社は2月25日、標準店舗で約6割の商品を値上げしており、3月から6月までの月ごとの客数増減率を平均すると、前年同期比で約0.1%の微増となる。

2025年は年間を通して客数が前年比で約4%増えていただけに、値上げ後の動きには注意が必要だ。ただし、2026年上半期全体では客数が前年を上回っており、現時点でマクドナルドの成長が止まったと判断するのは早い。

これに対して、サイゼリヤの客数は好調だ。2026年3月から6月まで、前年同月比で10%前後、あるいはそれ以上増える月が続いた。4か月の増加率を単純平均すると約14.4%増となる。

マクドナルドの利用者がそのままサイゼリヤに移っていると断定できるデータはない。それでも、ファストフードの価格が上がるなか、手頃な価格で食事ができ、店内でゆっくり過ごせるサイゼリヤの存在感が高まっていることは確かだ。