(1)問題意識の確認と目線合わせ

Aさん(高1) 自立したらどんな人間になれるのかが分かれば、これからの人生頑張れるかなと思います。

苫野 なるほど、確かに。自分が目指すべき方向が見えますね。

→参加者の発言を、受け止めたり価値づけしたりすることで、発言しやすい場づくりを意識します。ただし、上から評価するニュアンスにはならないよう注意。参加者の発言によって、ファシリテーター自身が発見したことを素直に表明する感じです(ファシリテーターはあくまでも対等な対話者として場に参加します)。

Bさん(中2) 自立と言っても、経済面での自立と精神面での自立があると思うんです。自分は経済的にはまだ自立してないけど、精神的には自立できるんじゃないかなと思っていて、この2つの関係を考えたいなと思います。

苫野 な〜るほど。早速、キーワードが出された感じがしますね。経済的自立と、精神的自立。

→(1)「問題意識の確認と目線合わせ」や(2)「さまざまな体験例、具体例を出す」のフェーズで、早くも本質的なキーワードが出てくることがあります。その時はこのような声かけをすることで、キーワードをピン留めしておきます。

哲学者の苫野一徳さん  撮影/eri yamada
哲学者の苫野一徳さん  撮影/eri yamada
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Cさん(大1) 高校時代の校是が「自主自律」だったんですが、これは律するほうの自律でした。「自立」と「自律」の違いって何だろうと疑問に思っています。

苫野 いいですね。類似概念との違いや関係が見えてくると、「自立」の本質もよりくっきり見えてくるはず。ぜひ明らかにしたいですね。

→類似概念との比較も、本質観取における有効な方法です。参加者が類似概念を出した場合は、やはりピン留めしておくといいでしょう。

Dさん(社会人2年目) 社会人になると、ちゃんと自立しなきゃって思うんです。でもそもそも自立って何なのか、よく分からなくて。自立の本質をつかむことで、目指す姿を見つけ出したいなと思います。

苫野 本当ですね。それは私も同じかも(笑)。ここまでの話から、みなさんの関心は、まさに自立の本質をつかむことで、自ら自立した人間になっていきたい、という点にあったかなという気がします。そこで、この関心をある程度共有しながら、今日の本質観取に挑んでいけたらと思いますがどうでしょう?

→「問題意識の確認と目線合わせ」を行います。