「ケーキ屋・両さん!?の巻」(ジャンプ・コミックス第78巻収録)

今回は、両さんがケーキ屋でアルバイトに励むお話をお届けする。

例によって例のごとく金欠な両さんが、麗子に紹介されたケーキ屋で働くことに。そこで両さんはケーキ作りの基礎を習うと、たちまち奇想天外すぎるオリジナルケーキを考案。

さらには『こち亀』ではすっかりおなじみのネタである「巨大すぎる○○」のバリエーションとして、麗子の会社のクリスマスパーティー用に、予算1000万円、重量がトン単位のケーキを作るが……。

本作中では、両さんが子どもの頃に食べたケーキについて語るくだりがある。両さんのような昭和ど真ん中の世代が口にしていたのは、現在では当たり前となった生クリームではなく、バタークリームを使ったものだった。

まず土台となるスポンジ部分は、ふわふわしていなくてドッシリと固く、焼き菓子感が強い。ただし家庭で作る場合にはオーブンがないため蒸し器を使用することが多く、蒸しパンのような仕上がりだった。

次にクリームは、生クリームではなくバタークリーム。これは無塩バターで、砂糖、卵、牛乳などで作った濃厚さが際立ったもの。硬い分、飾り付けの整形がしやすく、日持ちする。家庭の冷蔵設備が普及しきっていなかった昭和中期までは、庶民が口にするデコレーションケーキといえば、これだった。

ただし実際には高価なバターを使用したのではなく、ショートニング、マーガリンといった植物油脂をたっぷりと使ったものも多かった。本作中で両さんが「油っぽかった」と回想しているが、両さんが子どもの頃に食べていたケーキのクリームは、おそらくこれだろう。

さらにトッピングに使われていた極彩色の「チェリー」はゼリーのような食感だが、サクランボを砂糖漬けにして煮立て、着色したものだ。甘いだけでサクランボの風味はゼロだった。コッペパンに切れ目を入れて、なんちゃってバタークリームを挟み、その上に乗せられていることも多かった。いずれにしても、現代のトッピングの代表格であるイチゴと比べてしまうと、満足感はかなり少ない……。

こういった品なので、「ケーキが苦手だった」という人がいたのもわかる。だが、今ではなかなか口にすることのできない(なんちゃって)バタークリームで塗り固められたケーキを、懐かしく思う人もいるのではないだろうか。

なお意外にも両さんにはケーキ作りの経験があるのだが、これは麗子に習ったためだ。ケーキ作りの名人である麗子謹製の貴重なケーキ作りをめぐるお話は、2月24日からお届けする予定だ。

それでは次のページから、両さんが暴走気味に繰り出す、いろんなオリジナルケーキをご賞味ください!!