「最低額の社会保険に加入してその費用を抑える手口があるようです」

維新議員たちが理事に就いていたのは、2021年9月に設立され京都市下京区に主たる事務所を置くと登記簿に記載がある「一般社団法人E(仮名)」。

12月10日の大阪府議会で、自民党の占部走馬府議が質疑で問題を暴露した。

「通常、個人事業主や企業に属さない方は国民健康保険に加入していますが、一定の所得以上の方が最低額の社会保険に加入してその費用を抑える手口があるようです」

大阪府議会議員の占部走馬氏(本人Facebookより)
大阪府議会議員の占部走馬氏(本人Facebookより)
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そう切り出した占部府議が説明した手口はこうだ。

まず、一般社団法人が自営業者を理事に就け、少額の「理事報酬」を支払うことで、自営業者に社会保険加入資格をつくる。

一般社団法人は、一度この低額の報酬に応じた最低水準の社会保険料の会社負担分を国に納めることになるが、自営業者から理事報酬と社会保険料の負担分に「取り分」をプラスした「協力金」を受け取る――。

自営業者は保険料を削減することができ、一般社団法人側は「取り分」を手にすることができるというわけだ。

占部議員は「実質的な制度の悪用」と指摘。自営業者が社団法人理事として行なう「業務」はアンケートの回答程度しかないとし、「本来の趣旨を外れた脱法的運用」との指摘が出ていることもつけ加えた。

ここまで維新の「い」の字も出さなかった占部府議は、維新代表でもある吉村洋文知事に対し「この脱法的な制度を規制する働きかけをしていただきたい」と対処を要望。これに吉村知事が「ご指摘の事案というものが不正であれば、当然許されるものではない」と答えたのを待って、維新関係者の関与を公表した。

「一般社団法人E(仮名)」が入るマンション
「一般社団法人E(仮名)」が入るマンション

「この手法の広がりを知ったのはビジネス交流会で勧誘を受けた方が相談に来られたのがきっかけです。(相談に来た人が)『違法ではないか』と尋ねたところ、勧誘者は『維新の会の議員も多く利用しているので問題ない』という説明をされたということでした。

その勧誘者が示した法人の登記簿を取り寄せると、代表理事は維新の会の衆議院議員の元公設秘書で県議選の公認候補者でもありました。そして理事が660名もいる。その理事の中には、維新の会の議員と同姓同名の方も複数おられました」(占部府議)

日本維新の会・藤田文武共同代表(日本維新の会Xより)
日本維新の会・藤田文武共同代表(日本維新の会Xより)

集英社オンラインがこのE法人の登記記載内容を確認すると、維新所属の6人の国会・地方議員と同姓同名の人物が理事欄に名を連ねていた。