将来的には治療法が確立されるかも?

そして肝心の肥満症の治療法といえば、現時点では食事療法や運動療法が主流で、腸内細菌叢の調整が減量に効果的という報告はまだありません。また、薬や手術はBMIが35以上の高度肥満の場合や、ほかの病気を併発している場合などに限られます。

こうしたことから医師はAさんの前述の疑問に対し、「ほかの原因、それが腸内細菌だとしても治療法が変わるわけではありません。このままだと脂質異常症のほかに、糖尿病や高血圧症などを発症するリスクがあります」と回答しました。

Aさんはほかの病気にはなりたくないので、「まず、ウォーキングの時間を増やすこと。食事の栄養バランスを見直し、カロリー過多に注意すること」という医師の治療方針に同意しました。それを真面目に3カ月ほど実践したところ、体重が少しずつではあるものの減少しているということです。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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肥満も肥満症も「糖尿病」のリスクが高い状態です。糖尿病もまた、腸内細菌叢の状態が原因のひとつとなることがわかっていて、脳腸相関との研究が進行しています。

将来的には肥満も肥満症も糖尿病も、腸内細菌叢を調整することで、食べても太りにくくなる、必要以上に食べなくなる治療法ができるかもしれません。