脳にストレスをかけない

僕のこれまでのジャンプ人生をトータルすると、たぶん95%は負けています。勝てることはなかなかない。優勝することは難しい。

だから、負けからしか、学ぶことはありません。負けるからこそ勝ちたい、ライバルがいるからこそ勝ちたい。そしてまた練習するのです。

試合で負けたときは、その場で気持ちを切り替えて、後に引きずらないようにします。試合の反省はします。ビデオを確認して、コーチからも「次はこうしよう」とアドバイスもされるので、そこで反省します。

そしてすぐに頭を切り替えます。後悔のような形で、後に引きずることはしません。大体、負けるときは、風が悪かったりなど、運がないとき。あとは調子が悪いときぐらいしかないので、すぐに切り替えることができます。

風がよくて勝つときもあるし、無風や追い風など、コンディションが悪くても勝つときもある。後者の場合は、「自分の力で勝った」と自信を持つことができます。いずれにせよ、試合が終わったら、すぐに頭を切り替えます。

フィンランド式トレーニングと出会い、気持ちを切り替える習慣を身につけてからは、自然に頭が切り替わるようになりました。若いころ、考え過ぎて失敗してきた経験を踏まえて、脳のストレスをつくりたくないのです。気持ちの切り替えには、朝のランニングや、さまざまな球技のクロストレーニングも役に立っていると思います。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
写真はイメージです 写真/Shutterstock

メンタルのトレーニングには、潜在意識を活用するものもあります。前述の通り、僕もイメージトレーニングやビジュアライゼーションは行なっていますが、潜在意識については深く考えないようにしています。

僕の考えでは、潜在意識の中には、マイナスの記憶ばかりが詰まっている気がします。過去の大きな大会でのしかかってきたプレッシャーや、転倒事故、敗戦などの苦い記憶。

「うまく飛べないのではないか」などのネガティブな潜在意識が出てこないように、また新たにネガティブな思いを潜在意識に埋め込まないように、普段からポジティブに考えるように努力しています。