動物とふれ合うと幸せホルモンが増加する

人間関係を構築することそのものにストレスを感じるという人にとって、「動物とふれ合うことで“幸せホルモン”のセロトニンやオキシトシンが増える」というペットセラピーの研究は、心強い処方箋となるでしょう。

職場にネコを放し飼いにする企業などもありますが、ネコの愛くるしさをもって、ストレスを軽減させる、癒される、という科学的根拠もあります。

しかし、ネコ以上に大きな効力をもつのがイヌです。カロリンスカ研究所のピーターソンらは、10人の被験者に自分の飼い犬と60分間接してもらい、その前後、また途中で、被験者の血液からセロトニンやコルチゾール(ストレスホルモン)の反応を調査しました。

その結果、最初に幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが少なかった被験者ほど、イヌに頻繁にさわりたがり、さわったあとに大きな反応がありました。ただ、残念なことに、さわられる頻度が高いほどイヌのほうのコルチゾール値が高くなる傾向がありました。

つまり、人間は癒される一方で、イヌは過度なふれ合いによってストレスが上がってしまう可能性があるということです。

また、麻布大学の永澤らの研究では、イヌはオキシトシンの分泌を活発化させるだけでなく、イヌの健康のために朝と夕方の散歩が欠かせないことから、飼い主自身、屋外に出て日光を浴び、セロトニンの分泌量が増えるという利点を挙げています。

写真/Shutterstock
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イヌを飼うことで、飼い主自身も規則正しい生活が身につき、セロトニンが出やすい環境がつくられていくというわけです。

アメリカでは、動物と触れ合うことを「アニマル・アシステッド・アクティビティーズ(AAA)」「ペットセラピー」などと呼び、積極的にとり入れる医療現場も増えています。

ドイツでも、90パーセント以上の医療従事者が、動物がもたらす効果を認めているという調査結果もあるほどです。

動物は、人間にとてもポジティブな反応をもたらしてくれる大きな存在です。動物と、とりわけイヌと交流をはかるようにすると、幸せを感じやすくなるはずです。