谷中の名所「夕やけだんだん」の隣で進むマンション建設に住民は「残念」

「夕やけだんだん」は谷中銀座商店街に通じる階段の愛称だ。JR日暮里駅から徒歩5分ほどの場所に位置し、古くはお寺の境内の中にあったという。階段の上からきれいな夕やけが見られる名所として、地元住民や国内外の観光客から愛されている。

その景観を遮るように進むマンション建設をめぐり、Xには「ここの雰囲気は唯一無二だったのに」「とても残念です」など、惜しむ声が多く上がっている。

夕やけがキレイに見えていた「夕やけだんだん」からの眺め(PhotoAC)
夕やけがキレイに見えていた「夕やけだんだん」からの眺め(PhotoAC)
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12月の平日に取材班が現地を訪れると、建設中のマンションを囲う灰色の養生幕が階段横にそびえ立ち、以前とは大きく様子が変わっていた。

商店街は多くの人でにぎわい、外国人観光客の姿が目立った。

現在の「夕やけだんだん」からの眺め(撮影/集英社オンライン編集部)
現在の「夕やけだんだん」からの眺め(撮影/集英社オンライン編集部)

階段の近くで数年前から営業しているというベーカリーの店員は次のように話す。

「客足は以前とは変わっていませんが、マンションの建設が始まってから、少し店内が暗くなってしまい、階段の上から夕やけも見られなくなってしまいました」

商店街の台東区側でバーを営む女性は、複雑な事情を教えてくれた。

「ここはちょうど荒川区と台東区が近接するエリアで、商店街のお店も片側は荒川区、もう片側は台東区と、二つの区にまたがっているんです。坂の上の七面坂方面からは今でも夕やけが見られるので、私はそちらから夕やけを見ています。

『夕やけだんだん』という愛称の場所から夕やけが見られないのは、悲しいかぎりです。建設が進むにつれてマンションは日に日に高くなっていき、圧迫感は否めません。ここまで高いとは思いませんでした。下町風情が残る谷中銀座に塀ができたように感じています」

「谷中ぎんざ」のゲートと建設中のマンション(撮影/集英社オンライン編集部)
「谷中ぎんざ」のゲートと建設中のマンション(撮影/集英社オンライン編集部)

商店街で古くから営業している精肉店の店員は、あきらめたような表情で次のように話した。

「ずっと前から工事をやってるのに、なんで今頃になって騒いでるんだろうね? 仕方ない。『なるようになる』だよ」